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「ベイビーわるきゅーれ」 2021

ベイビーわるきゅーれ

★★★★☆

 

あらすじ

 高校を卒業した女二人組の殺し屋は、共同生活をしながら世間を欺くためにアルバイトをするよう組織から求められる。

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感想

 若い殺し屋の女二人が主人公だ。序盤は、なにかとダルそうな二人が一般社会に溶け込もうと四苦八苦する姿が描かれる。ダルさを強調するためなのか、最初のバイトの面接シーンで皆のセリフが聞き取りづらくて不安になってしまったが、その後はだいたい大丈夫だった。

 

 主人公ふたりは、本業の殺し屋はそれこそバイトのようにゆるい感じでそつなくこなせるくせに、バイトの面接や仕事には苦労する様子がなんだか可笑しい。別にお金に困っていないから必死になれないというのもあるのだろう。世の中にはクソな人間が多いということもあるのかもしれない。その他、二人が部屋でネットやゲームをしながらまったり過ごしたり、喧嘩して険悪になったりと、若い女殺し屋の普通の日常が描かれていく。そこで交わされる会話も面白い。

 

 

 それから殺し屋の裏側が垣間見えるシーンもある。殺しの後始末を依頼された掃除屋が現場を見た後に、主人公の一人にお願いという形を取りながらネチネチと嫌味を言うシーンは笑えた。主人公は苦笑いしながら恐縮したふりをしてやり過ごす。殺し屋だってしがらみの中で生きているのだ。また、主人公たちが自転車の二人乗りで殺しの現場に向かうのもなんだかグッと来る。

 

 アクションシーンは序盤に少し激しいのがあったくらいでその後はおとなしかったのだが、クライマックスで一気にたたみ掛けてくる。緊迫感が高まる中、まず最初にひと笑い取ってから始まるこの一連のクライマックスシーンは見ごたえがあった。

 

 中でも、普段はスタントもやっているという伊澤彩織演じる主人公の一人と敵の男が対決するシーンは迫力があった。大技で魅せるアクションではなく、手数をかけて少しずつ相手にダメージを与えていくアクションで、形成が少しずつ変わっていく息詰まる攻防戦が繰り広げられる。最後の意表をついたケリのつけ方も決まっていた。

 

 今どき感のある主役二人も良かったが、敵役の一人を演じる本宮泰風がいい存在感を放っていた。Ⅴシネで活躍しているのは知っていたが、ほとんどその演技を見たことがなかったので感心してしまった。

 

 会話の中で政治に対する批判が自然とあったり、めったに食べられないとコンビニのサンドイッチに興奮する貧しい若者が登場したりと、狙っているのかいないのか、しっかりと時代が映し出されているのも良い。緩急があって楽しめるエンタメ作品だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/編集 阪元裕吾

 

出演 髙石あかり/伊澤彩織/本宮泰風/秋谷百音/うえきやサトシ/三元雅芸/飛永翼/辻凪子/大水洋介/仁科貴/伊能昌幸/福島雪菜

 

音楽    SUPA LOVE

 

ベイビーわるきゅーれ - Wikipedia

 

 

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