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「ある用務員」 2021

ある用務員

★★★☆☆

 

あらすじ

 幼い頃にヤクザの父親を殺された男は、自分を育ててくれた恩人の娘の用心棒をするために、彼女の通う高校の用務員として働いていた。86分。

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感想

 殺された父親の兄弟分に殺し屋として育てられ、高校の用務員に扮してその娘の警備をする男が主人公だ。彼を育てた父親の兄弟分で今は裏社会のボスの男は、自分の息子同然に育てると言っていたくせに、殺し屋にしてそんな仕事をさせるなんておかしいだろうと思っていたが、それが伏線になっていた。

 

 やがていざこざが起きてボスの娘が狙われるようになり、彼女を守る主人公のもとに殺し屋が大量に仕向けられる。学校を舞台に個性的な殺し屋たちと繰り広げるアクションは、どれも迫力があって見応えがあった。監督の後の作品「ベイビーわるきゅーれ」の女二人組の殺し屋の原型も登場する。

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 殺し屋たちだけでなく、問題の火種を作った組長とその子分など、登場する誰もがみな面白いキャラクターで、そのやりとりも面白い。なかでも殺し屋を仕向けるボスの息子役の前野朋哉が素晴らしかった。人当たりはやわらかいのにやってることも言ってることもえげつなくて、ラスボスとしての存在感を放っていた。

 

 

 襲い来る殺し屋たちを何とか倒し、ついに主人公はラスボスと対峙する。緊迫した戦いが始まると身構えていたら、呆気なく決着がついてしまった。だが意外性があって小気味よく、気持ちよかった。すでに白熱の戦いは他の殺し屋たちとの戦いで十分に見たので、リズムを変える巧みな展開だ。

 

 典型的なストーリーはともかく、殺し屋同士の戦いという意味ではかなり満足できる内容だったが、唯一そして決定的に残念なのは、主人公に全く魅力がないことだ。最初から最後までずっと、はっきりしない冴えない男のイメージのままだった。他のキャラたちを引き立てるのにはいいのかもしれないが、やっぱり主人公が格好良くないといまいち気分が乗らない。

 

スタッフ/キャスト

監督/編集 阪元裕吾

 

出演 福士誠治/芋生悠/前野朋哉/般若/一ノ瀬ワタル/清水優/北代高士/伊能昌幸/近藤雄介/尾崎明日香/髙石あかり/伊澤彩織/波岡一喜/野間口徹/渡辺哲/山路和弘

 

ある用務員

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  • 福士誠治
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