★★★☆☆
あらすじ
アメリカ南部の都市・サバナに仕事でやって来た記者は、知り合った富豪が起こした殺人事件の裁判を傍聴するようになる。原題は「Midnight in the Garden of Good and Evil」。155分。
感想
記者である主人公が、アメリカ南部の都市サバナに到着したところから物語が始まる。太陽が降り注ぎ、緑の多い街の様子は、テレビでよく見るニューヨークなどの大都市とはまた違った雰囲気で、これもまたアメリカぽさを感じる。
どんな映画が知らないままに見始めたので、最初はどこに物語が向かうのかが見えなかったのだが、次第に主人公が知り合った富豪が起こした殺人事件の裁判の話が中心となっていく。富豪の行為が正当防衛だったかが争われるこの裁判に、主人公がなぜ興味を示したのかはあまり伝わってこなかったが、地元の名士だったので普通に話題性もあるし、知り合いだったので取材もしやすいと踏んだのだろう。
ただ、単純な裁判映画ではなく、途中で色々とシリアスなのかふざけているのかよく分からないシーンが多く挿入されるのも特徴となっている。正直、なんのためにそんなシーンがあるのかと訝しんでいたのだが、後で調べるとこの映画は実際に起きた事件を題材にしており、地元の有名人のエピソードが描かれたり、実際にご本人が登場したりしていたようだ。音楽もこの街出身の作曲家ジョニー・マーサーのものが使われており、このあたりはアメリカの歴史や文化についてある程度の知識がないとピンとこないのかもしれない。
そして映画も裁判そのものよりも、このアメリカ南部の都市の奇妙さを描こうとしているように思える。今だにブードゥー教の儀式が行われていたり、不思議なコミュニティが築かれていたり、奇特な人々がいたりと、異文化に出会った時のような新鮮な驚きに満ちている。アメリカ人ですらビックリしているのだから、他国の人間なら尚更だろう。主人公が裁判に興味を持ったのも、なんだかヤバそうな街で起きた事件だから、というのもあったかもしれない。
どうリアクションを取るべきなのか、当惑してしまうような場面が多かったのも事実だが、それでも2時間半以上ある物語をダレることなく楽しめた。富豪役のケヴィン・スペイシーの気取った演技も良かったし、裁判後の彼と被害者を対比させるシーンも良かった。なんだかんだでマジックリアリズム的な不思議な魅力の感じられる映画に仕上がっている。
スタッフ/キャスト
監督/製作
脚本 ジョン・リー・ハンコック
原作 真夜中のサヴァナ―楽園に棲む妖しい人びと (ハヤカワ文庫NF)
出演 ジョン・キューザック/ケヴィン・スペイシー/イルマ・P・ホール/ジャック・トンプソン/ボブ・ガントン/ジェフリー・ルイス/アリソン・イーストウッド
音楽 レニー・ニーハウス
撮影 ジャック・N・グリーン
登場する人物
ジム・ウィリアムズ