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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ミッション・ワイルド」 2014

ミッション・ワイルド(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 アメリカ西部開拓時代。精神を病んでしまった三人の女性を遠い地の教会に連れていくことになった女は、たまたま出会った男に協力を要請する。 

 

感想

 一つの小さな開拓村で、三人も精神を病んだ者が出るというのは驚きだ。厳しい自然を相手に何もない所で過ごすわけだから、思い通りにならない事ばかりで参ってしまうという事なのか。そしてそんな村人のストレスが女性に向けられしまうというのもあるのだろう。弱いものがさらに弱いものを叩く世界だ。

 

 そんな暮らしの中で一人たくましく生きるヒラリー・スワンク演じる女性。自ら土地を耕し、村の者に時おり食事を振舞い暮らしている。音楽を愛し、信心深くもある。今なら自立した女性という事になるはずだが、この時代では生意気で扱いづらい女性と思われてしまっている。彼女が食事を振舞った男性に、一緒になった時のメリットを説いて結婚を迫るシーンはさすがに引いてしまったが、それに対して面と向かって酷いことを言われ、断られてしまったのはさすがに気の毒だった。

 

 病んだ女性たちを送り届けることになった彼女の前に現れたのが、監督でもあるトミー・リー・ジョーンズ演じるならず者の男だ。それまでてっきりヒラリー・スワンクが主役かと思っていたのだが、彼が主人公だった。彼女の気高い生き方に触発された主人公が、少しずつ変化していく物語だ。ただ彼が本当に悪い人間であれば彼女を出し抜く事など簡単だったはずなので、元々そんなにひどい人間だったとは思えないが、利己的なズルい人間だったとは言える。そしてそんなズルい人々は彼女の周りにたくさんいた。彼がそんな人々の代表のような役割を果たした事になるのだろう。

 

 

 しかし、彼女から主人公に物語の視点が移り変わるシーンは物悲しかった。気持ちが真っ直ぐなだけに不器用な彼女の生き様に、切なさを感じてしまった。そんな彼女の崇高な精神を主人公が受け継ぎ、そこからさらに次の世代へと伝えられていく。トミー・リー・ジョーンズとヒラリー・スワンク、オスカーも獲っている二人の名優の演技は見ごたえがあった。

 

 ラストの主人公が持っていこうとしていた板が蹴とばされ、川に流されていったシーンはどう解釈していいのか少し迷うが、彼女は今や何にも縛られない自由を手に入れた、という事を示しているのだろう。

千の風になって

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スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作総指揮/出演 トミー・リー・ジョーンズ

 

原作 The Homesman: A Novel (English Edition)

 

製作 ピーター・ブラント/ブライアン・ケネディ/リュック・ベッソン

 

出演 ヒラリー・スワンク/グレイス・ガマー/ミランダ・オットー/ジェシー・プレモンス/ウィリアム・フィクナー/デヴィッド・デンシック/ジェームズ・スペイダー/エヴァン・ジョーンズ/ヘイリー・スタインフェルド/ジョン・リスゴー/バリー・コービン/ティム・ブレイク・ネルソン

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ミッション・ワイルド(字幕版)

ミッション・ワイルド(字幕版)

  • トミー・リー・ジョーンズ
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ミッション・ワイルド - Wikipedia

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