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「オー・ルーシー!」 2018

オー・ルーシー!

★★★★☆

 

あらすじ

 ふとしたきっかけで英会話の体験教室に参加し「ルーシー」と名付けられた女は、帰国した英会話教師を追ってアメリカに向かう。

 

感想

 冷めた日常を過ごす40代独身女性の主人公が、たまたま訪れた英会話教室で、戸惑いつつも変わっていくというか、目覚めていく姿がリアルだった。外国語を話すときは別人格になったような感覚があるので、自分を変えたいと思っている時には手っ取り早くて良い手段なのかもしれない。英会話教室のいかがわしく不思議な空間も面白かった。

 

 そんな主人公が、英会話教師を追ってアメリカに向かう。これまたひょんなことから不仲な姉と一緒に行くことになるのだが、この姉がことあるごとに主人公の事をわがままだと非難していて、最初はそうかなと違和感があった。自分にはわがままというよりも世間に流されない、自分のやりたいことをやる自立した人間に見えた。ただ、どんどんと居場所を失っていく彼女を見ていると、自分らしさを大事にし過ぎてまわりと上手くやれない、やっぱりわがままな人間なのかも、と思い直した。

 

 

 おそらくきっと誰だってわがままな人間なのだが、多くの人はそれを取り繕いながら生きている。だけど主人公にはそれが出来ない。周囲の人々を気にしないで、思ったことを言ってしまうし、やりたいことをやってしまう。生きるのが下手くそだと言えるが、だからといって改善する気はなく、これでいいやと開き直っている。ただ、もし彼女が上手く生きられるようになったら、きっと彼女の姉のような嫌な奴になるのだろうなと思うと、色々と考えてしまうが。結局はバランスが必要だということなのだろう。

 

 ままならない主人公の姿に、何とも言えない人生の悲哀を感じてしまう映画。これは寺島しのぶ演じる主人公が40代だからこそという感じがする。もし彼女が20代や30代だったら、色々な出来事の意味合いが変わって見えるだろうし、何があったところできっとやり直せるしと思ってしまっていただろう。だが40代になると、本当にやり直せるのか?と疑いの気持ちも少し出てきて、それが人生を考えさせることにつながっていく。

 

 余談だが、今となっては冒頭の主人公のマスクの使い方にめちゃくちゃ違和感を感じてしまった。風邪気味だからマスクをしているのに、人と話すときにはマスクを外す。人と話すときは失礼にならないようにマスクを外して顔を見せるという風習、あったなーと懐かしい気分になってしまった。このマナーはいつか元に戻るのか、それとも今のマナーがそのまま定着していくのか気になる。そしてまたいつか、このマナーについての喧々諤々の議論が巻き起こるのかもしれない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 平栁敦子

 

製作総指揮 メイリン・チュー/ラズミッグ・ホバギミアン/ウィル・フェレル/アダム・マッケイ

 

出演 寺島しのぶ/南果歩/忽那汐里/ジョシュ・ハートネット/大後寿々花

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オー・ルーシー! - Wikipedia

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