★★★☆☆
あらすじ
ハメられて終身刑となり、フランス領ギアナの刑務所に送られた男は、何度も脱獄を試みる。実話を基にした作品。
感想
主人公を演じるチャーリー・ハナムがスティーブ・マックィーンによく似ている。そして友人役のラミ・マレックもダスティン・ホフマンに似てなくもない。二人の関係や絵柄も1973年の同じ原作の映画「パピヨン」とそっくり。となると、どうしてもこの映画と比べたくなる。同じ原作なのだから似るのは仕方がないのかもしれないが、何も寄せていくことはないのに、と思ってしまった。
何度も脱獄に挑み、ついにはそれを成功させる男の物語なのだが、映画としてそんな彼の何を描きたかったのかがよく分からない。スリル溢れる脱獄の様子なのか、あきらめない不屈の男の姿なのか、友情なのか。なんとなくどれも中途半端ですべてが平均点といった印象。なので見どころはどこかと問われると、何を挙げるべきか困ってしまうような内容になってしまっている。
それに主人公が何度も脱獄に挑むそのモチベーションがどこにあるのか、それもいまいち分からない。最初は自分をハメて島送りにした奴らに復讐する、というのがあったのかもしれないが、それは途中で明らかになくなっている。とすれば、それでも彼を突き動かすものは何なのか。反発心なのか、自由を求める心なのか、それともまた別の理由なのか、それを示して欲しかった。
そんな映画だが、それでも結局長い付き合いとなった偽札職人の友人との最後の別れのシーンは胸が熱くなった。その他の部分もスティーブ・マックィーンの映画がなければ、それなりに満足できたのかもしれない。どうせ比べられるのは分かり切った事なので、どこかに違いを感じさせるようなものを見せて欲しかった。
スタッフ/キャスト
監督 マイケル・ノアー
原作 パピヨン 上下合本版/パピヨンは死なない (Hayakawa nonfiction)
出演 チャーリー・ハナム/ラミ・マレック/ローランド・ムーラー/トミー・フラナガン/イヴ・ヒューソン/ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン
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