★★★☆☆
あらすじ
移住した惑星で人類は心の声が外部に漏れ出るようになってしまった。原住民との戦いで女が殺され、男だけになった開拓村で暮らす青年は、墜落した宇宙船を発見し、生存者の女性と出会う。
感想
皆の心の声がだだ漏れするようになってしまった世界が舞台だ。なんでそんなことになったのか不思議だが、その原因は明らかにされない。だが、心の声が外部に漏れ出るだけでなく、想念のようなイメージも浮かび上がるようになっているのは興味深い。「ジョジョの奇妙な冒険」のスタンドぽく使うことも出来る。
主人公は、異星人の原住民との戦いで女たちが殺され、男しかいなくなった村で暮らしている。油断すると心の声がだだ漏れで不和が生じかねない社会で、なんとか心を抑えようと努力しているのだが、その努力する心の声さえだだ漏れになってしまうのがつらい。だが割とみな聞き流してくれる。いちいち気にしていたらきりがないだろうから当然なのかもしれない。慣れもあるだろう。
そんな主人公が、移民の第二陣としてやって来るも遭難してしまった一人の女性と出会う。そして、新たな移民団を敵視する村人たちから彼女を助けようと、一緒に村を出たことから物語は動き出す。心の声が漏れるのはなぜか男だけなので、初めて女性を見て心の声がだだ漏れまくりの主人公の様子が面白おかしく描かれつつ、二人の旅が展開していく。
その過程で主人公は、幼い頃から聞かされていた話とは違う村の真実を知ることとなる。この真実は、一方だけが心の中が丸見えの、主人公と女性の不公正でアンバランスな関係を見ていたら、確かにそんなことが起きえるかもしれないなと納得してしまうようなものだった。かなりの説得力があって興味深い。
だが、メインとなる二人の旅自体にはあまり面白みが感じられなかった。そもそもこの旅は、女性が救助信号を送るための単なる移動でしかない。その間に起きる出来事もどこか中半端で、最後の戦いも盛り上がりに欠けた。もうちょっとスタンド使いの戦いみたいにするとか工夫が欲しかった。
面白くなりそうな設定ではあるが、それらをうまく活かしきれなかった印象だ。心の声がだだ漏れなのは、コメディにはいいのかもしれないが、心を病んでるようにも見えるし、クールに決めたい時には邪魔になって締まらなくなってしまうので、両刃の剣かもしれない。
スタッフ/キャスト
監督 ダグ・リーマン
脚本 パトリック・ネス/クリストファー・フォード
製作 ダグ・デヴィッドソン/ロバート・ゼメキス/アリソン・シェアマー/アーウィン・ストフ/ジャック・ラプケ
出演 トム・ホランド/デイジー・リドリー/マッツ・ミケルセン/ニック・ジョナス
音楽 マルコ・ベルトラミ/ブランドン・ロバーツ