★★★☆☆
あらすじ
宇宙船に乗り込み、新天地を探す乗組員たち。
感想
いかにも昔の特撮映画といった感じのローテクな映像が、なんとも言えない良い味を出している。三人の乗組員が任務をこなす狭苦しいコクピットだったり、ヌードポスターを貼り過ぎてぼかし処理をされている休憩室だったりと、セットや小道具にちゃんとこだわりが感じられる。しかし、ぼかし処理はオリジナルからなのか日本公開用なのかは分からないが、この処理をした人は余計な事させるなよ、ときっとイラっとしたのだろうなと思うと笑えてくる。それからピコピコとした効果音もグッと来た。レトロフューチャー感。
物語は、宇宙船乗組員たちのとある一日といった感じで、代わり映えのしない毎日にうんざりしたメンバーの様子が描かれていく。オフビートなコメディ映画といったところだろうか。爆笑することはないが、ニヤリとするシーンは随所にある。ただ、ペットの宇宙人と追いかけっこをしてからのエレベーターのくだりは長過ぎた。話の方向性が良く分からない映画なので、これから「エイリアン」的な展開が待ち受けているのか?と余計な想像までしてしまっていたのに、意外と大したことは起きなかった。
いつか地球と衝突するかもしれない惑星を見つけ出し、あらかじめ破壊しておくという任務だったり、すでに死んでいる船長と会話出来たりと、なかなか面白いアイデアのSF設定がいくつも出てくる。中でも少し反応が鈍い船長との会話のくだりは笑えた。それから、言う事を聞かなくなる人工知能、というのは定番だが、確かにこんな感じだと、何かと盾突いてくる厄介な人間と何も変わらず、ロボットのメリットが全くないなと実感させられて、考えさせられた。
最後はなんとも言えない結末。だけど昔のSF小説にはよく見られた結末と言えるかもしれない。でもそれまでの伏線をちゃんと踏まえた、きれいにまとまった終わり方で、少し哲学的な匂いもある。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作/音楽 ジョン・カーペンター
脚本/出演/編集 ダン・オバノン
出演 ブライアン・ナレル/ドレ・パヒッチ/カル・ニホルム/ジョー・サンダース/マイルス・ワトキンス
撮影 ダグラス・ナップ