★☆☆☆☆
あらすじ
ダムで働く元軍人の男は、外での作業中に事務所が謎の武装集団に占拠されたことを知る。
ブルース・ウィリス出演。98分。
感想
武装集団に占拠されたダムを、主人公が取り戻そうとする物語だ。武装集団が乗り込んできた時の警備員を躊躇なく殺していく様子には、その後の更なる大量殺戮を予感させたが、それからの彼らの人質の扱いは普通で拍子抜けした。
そして彼らの人質となった職員たちの冷静さにも違和感があった。突然の出来事に驚いて慌てふためくこともなく、すぐに武装集団の指示に従う。あらかじめ知っていたかのようで、訓練みたいだった。主人公も同様で、異常事態に気付いた次の瞬間には敵を倒し始める。そこはもうちょっと戸惑いとか迷いとか欲しかった。
単独で武装集団と戦うことになった主人公だが、元軍人というわりには身のこなしが素人ぽい。ノソノソと脇も締めずにだらだらと動く姿は、新聞を取りに出てきた起き抜けのおじさんにしか見えなかった。強さに説得力がなく、かなり冷める。
また、対する武装集団もショボい。傭兵のくせにスナイパーは障害物のない場所を走る主人公に弾を一発も当てられず、見張りの兵士は階段をコツコツと足音を立てながら下りてくる男に全く気付かない。凡ミスばかりだ。
雑で粗いシーンばかりで、まるで「ダイ・ハード」に感激したアマチュアが撮ったアクション映画みたいだ。コミカルなシーンも締まりがなく、寒々しい。
これだけですでにかなり残念なのだが、終盤にブルース・ウィリス演じる武装集団のボスがダムを襲撃した理由を明らかにし、その目的を果たそうとする段階になると、まったく収拾がつかなくなる。彼の言っていることもやっていることも支離滅裂で意味が分からず、なんでそんなことをしているのかさっぱり分からなくなってしまった。わざわざダムを占拠する必要はあったのかと疑問だ。
単なるアクションではなく、正義と正義のぶつかり合いとか、敵味方関係なく軍人同士なら通じ合う心とか、いろいろと詰め込んだ熱いドラマをやりたかったのはなんとなく分かる。だが圧倒的に力不足だった。白けた気持ちにさせられてしまう映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ジャレッド・コーン
脚本 キャム・キャノン
出演 パトリック・マルドゥーン/ブルース・ウィリス/マシュー・マースデン