★☆☆☆☆
あらすじ
銀行強盗後に失踪した両親。二人を死亡扱いにして遺産を分けようと、葬儀の名目で子供たちが実家に集まってくる。
草彅剛主演、尾野真千子、新井浩文、中村倫也、MEGUMIら出演。108分。
感想
両親の葬儀の名目で集まった兄妹4人による遺産相続をめぐるコメディだ。
だが最初は全くコメディだとは思わなかった。5回目くらいの笑いどころがやってきたところで「あれ?これってもしかしてコメディなのか?」と気付いた。それくらい全然笑えない。
冒頭から重たい空気が漂っており、笑えるポイントがやって来てもそれが完全に解き放たれることはない。常に変な緊張感が残ったままになっているのが原因だろう。撮り方も音楽も含めて、まったく笑える雰囲気が作れていない。
早い段階で「これはコメデイですよ」と宣言するようなツカミの笑いがなかったのも大きい。おかげで兄妹の微妙な関係を描く家族ドラマのつもりでしばらく見てしまっていた。映画ポスターのどこにもコメディらしい要素がないのも駄目だろう。
長男である主人公がゴネることで遺産の分配が二転三転していく。主人公はゲスいキャラで、そのゲスさがコメデイを引っ張っていく設定なのだが、演じる草彅剛がゲスさよりも得体の知れなさを醸し出してしまっていて、とても分かりづらいものにしてしまっている。彼の真意を測りかねて、何かするたびにいちいち咀嚼する時間が必要だった。これでは笑えない。
それから、それぞれが遺産相続の規定を持ち出すことで他の者たちの思惑が外れていくのも笑えるポイントとなっているが、専門家でもない素人の説明に皆が素直に納得し、そのまま話が進んでしまうのが解せなかった。裁判をする発想がある人たちなのだから、そこはプロである弁護士にまずはちゃんと確認しようよと思ってしまった。
それでも遺産の行方が決まるまでは、失敗しているとはいえコメディの体裁を保っていたが、その後はなぜか泣かせる展開になっていく。その展開に持っていく必然性は感じられず、もはや興味もなかったので、とても宙ぶらりんな時間になってしまった。
そしてそれが終わってもまだ物語は続く。今度はなぜか皆でキャンプ場に行くことになる。このあたりの展開はもはや意味が分からず、その後はもうただただ酷かった。
終盤に向かうにつれて惨憺たるものになっていく映画だ。トボけたオフビートなコメデイをやりたかったのかと思っていたのだが、ラストあたりを見ると普通にハジけた笑いをやりたかったようでもあり、そもそもどこを目指していたのだ?と困惑してしまう。
出演者の不祥事でお蔵入りになりそうだった映画らしいが、それにまつわる不謹慎ジョークの一つでも言いたくなるような出来だった。
草彅剛主演の映画『台風家族』が9月に3週間限定で上映へ 新井浩文被告の出演シーンは再編集せず | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス
スタッフ/キャスト
監督/脚本 市井昌秀
出演 草彅剛/新井浩文/MEGUMI/中村倫也/尾野真千子/甲田まひる/若葉竜也/榊原るみ/藤竜也/相島一之/斉藤暁
音楽 スパム春日井

