★★★☆☆
あらすじ
静かな引退生活を送っていた元CIAの男はある日、何者かに襲撃され、安全のために想いを寄せる女性をさらって一緒に逃げる。
タイトルの「RED」は「引退した超危険人物(Retired Extremely Dangerous)」の略称。
感想
すでに引退した元CIAの主人公が、突然襲撃してきた者たちの正体を探る物語だ。元同僚に止まらず、かつてしのぎを削った英国やロシアのライバルたちとも協力しながら真相に迫る様子が、軽妙でコミカルなタッチで描かれていく。
この凄腕の仲間たちに混じって、引退後の主人公の心に潤いを与え、恋心が芽生えていた女性が同行しているのが面白い。しかも、電話での会話のみで面識がなかったにもかかわらず、最初はほぼ拉致するような形で強引に連れ去ってしまう。
主人公を問答無用に殺そうとするような相手だから、関係者にも平気で酷いことをするはずで、それから守るためにはこうするしかなかったのだろう。わけもわからず連行され、歴戦のスパイたちの中に放り込まれて戸惑う彼女は、観客を代弁するキャラでもある。
主演のブルース・ウィリスをはじめ、モーガン・フリーマンやリチャード・ドレイファス、ヘレン・ミレンなどが出演し、豪華なキャストだ。皆がいい仕事をしており、それだけで楽しめてしまうところがある。
なかでもジョン・マルコヴィッチは、くせ者感たっぷりの演技を見せている。被害妄想的に何でも疑って皆を呆れさせておいて、後でそれが全部本当だったと判明するシークエンスは面白かった。また、ヘレン・ミレン演じる女殺し屋が派手に機関銃を連射しまくる横で、甲斐甲斐しくそのサポートをする地味な姿には、ジワジワ来るものがあった。
小粋な雰囲気のある好きなタイプの映画だが、メリハリがないというか、盛り上がり切れないというか、淡々としていて一本調子になってしまっている印象だ。ストーリーは面白く、それなりに笑えて決して悪くはないのだが、期待値を越えることのないシーンの連続で、物足りなさが残った。
スタッフ/キャスト
監督 ロベルト・シュヴェンケ
出演 ブルース・ウィリス/ジョン・マルコヴィッチ/メアリー=ルイーズ・パーカー/ヘレン・ミレン/ ブライアン・コックス/カール・アーバン/ジュリアン・マクマホン/リチャード・ドレイファス/レベッカ・ピジョン/アーネスト・ボーグナイン/ジェームズ・レマー
関連する作品
続編