★★★☆☆
あらすじ
十字軍に欺瞞を感じて離脱した二人の戦士は、ある町で脱走兵として捕まってしまうが、放免と引き換えに「魔女」の護送をするよう持ちかけられる。
ニコラス・ケイジ主演、ロン・パールマンら出演。原題は「Season of the Witch」。95分。
感想
流行しているペストを止めるため、「魔女」とされる女の護送を持ちかけられた戦士が主人公だ。
冒頭に魔女狩りの様子が描かれる。「魔女狩り」は、関東大震災の朝鮮人虐殺のように、どの地域にも一つくらいはある黒歴史のひとつだと思うが、ヨーロッパの人たちは反省しているのだろうか。
魔女狩りをしていたら逆に魔女に襲われたとか、逆説的に魔女狩りを正当化しているようなものだ。こんな風にエンタメとして消費してしまっていいのか?と思ってしまうが、そんなことを言っていたら鬼退治をしない「桃太郎」みたいな話ばかりになってしまうのだろう。
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主人公らは神父や道案内役の詐欺師らと共に、修道院まで魔女を護送する。だが取り立てて大きなドラマはない。吊り橋を渡るシーンと狼に襲われる場面が見せ場だったが、魔女に関する物語としての盛り上がりには欠け、別に芝刈りに出掛けたおじいさんでも成立しそうな話になっている。
なんとか修道院にたどり着くと、それまで思わせぶりなだけだった魔女が本性を現す。一瞬、それが出来るなら最初からやればよかったのに、と思ってしまったが、ちゃんと理由があり、敢えての設定になっていたことに安心した。ここからの展開は、それなりに盛り上がって面白かった。
本題に入るまでが凡庸で停滞感があり、全編を通してアクション描写もいまいちだ。これをやりたかったから若者が旅に加わったのかと思ってしまうラストも取ってつけた感があったが、100分未満でもあり、そこそこには楽しめる冒険物語になっている。
スタッフ/キャスト
監督 ドミニク・セナ
脚本 ブラギ・シャット・Jr.
出演 ニコラス・ケイジ/ロン・パールマン/クレア・フォイ/スティーヴン・キャンベル・ムーア/スティーヴン・グレアム/ウルリク・トムセン/ロバート・シーハン/クリストファー・リー
