★★★☆☆
あらすじ
高校三年生の男は、いじめられていた一年生女子を助けたことから仲良くなるが、彼女が家庭に問題を抱えてていることに気付く。
感想
正義感の強い男子高生が、いじめられていた後輩女子を助けたことから始まる物語だ。主人公がいじめを止めに行くシーンは、なんのひねりもないストレートな描き方で逆に新鮮だった。それでいじめがなくなるならとっくになくなくなっているだろう。実際、この映画の中でもその後いじめは続いている。
序盤は、助けられた女子高生が優しい主人公に守られ、おまけに気付いていなかった自身の魅力まで発見されてしまう少女漫画的な展開が繰り広げられる。二人のやり取りもどこか漫画的だ。
ただ時々異常に長いシーンがあってイライラさせられた。二人のイチャイチャぶりを見たい人のためだろうシーンで、それ自体は別にいいし、会話自体も悪くなかったのだが、ずっと同じ場所にいる閉塞感が辛かった。二人が初めてまともな会話を交わしたトイレのシーンなどは、その話を続けたいなら続けてもいいけど、とりあえず一旦場所は変えようか、とお願いしたくなった。
仲良くなった二人だが、主人公は彼女の家庭に何か問題がありそうなことに気付く。それが決定的になるのは彼女の父親に出会ったシーンだ。だがこのシーンでは正直なところ、その異常さが際立っていたのは彼女の父親ではなく、主人公の母親の方だった。初対面の相手に対して勝手に義母の介護をしていると決めつけ、病院はどこかと執拗に聞き続ける姿は尋常ではない。完全に主旨がブレてしまっていたが、なぜこんな不自然なやり取りにしたのか不思議だ。
ここから少女漫画的世界から、物語の方向性が一気に変わる。だがなんとなく既に話は見えてしまっていたし、すぐに警察に駆け込めば済んだ話なのでは?と思ってしまって、中途半端に感じてしまった。少女漫画だけだとあれなのでサスペンス要素をおまけで加えておきました、みたいな仕上がりだ。
それから、映画の重要な鍵となっていた、何度も出てくるUFOの話がいまいちピンと来なかった。おそらくじっくり考えれば理解できるのだろうが、なぜかそんな気にはなれなかった。
少女漫画とサスペンス、二つの要素を組み合わせたことが良かったのか悪かったのか、見る人によって評価が分かれそうな映画だ。おそらくこの映画に何を求めていたのかで評価は変わるのだろう。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/編集 SABU
出演 中川大志/石井杏奈/井之脇海/清原果耶/松井愛莉/北村匠海/矢田亜希子/原田知世/木野花