★★★☆☆
あらすじ
左遷のような形で犯罪多発地域に異動となった白人警官。
感想
治安の良い地域からダウンタウンの犯罪多発地域に左遷された白人警官が、あまりの環境の違いに戸惑う姿を楽しむコメディ映画。だが、あまり面白くないというのが正直なところ。そのくせ、シリアスな場面は妙に重苦しかったりして、とてもバランスが悪い。
もっと笑いの量を増やして、分かりやすいコメディ映画にして欲しかった。あるいは逆に、シリアス路線でも良かったのかもしれない。ただシリアスなパートは、ありがちな話なので陳腐になってしまうかもしれないが。とにかく、お気楽に見ればいいのか真面目に見ればいいのか、ちゃんと分るようにしてくれた方が落ち着かない気分にならずにすむので有難い。
映画の方向性はイマイチ定まっていなかったが、メインとなる事件の描き方は面白かった。早い段階で犯人も事件の大体のあらましも分かるのだが、肝心の彼らの悪事の実態は終盤になるまで分からない。その真相が明らかになった時は、なるほどうまい手口だなと感心してしまった。クライマックスのアクションも、主人公の車の運転が上手過ぎる事にはかなり引っかかったが、見ごたえがあって終盤はなかなか悪くない展開だった。
この映画は白人の主人公が、フォレスト・ウィテカー演じる黒人警官に最初は拒絶されながらも次第に認められ、絆を深めていくというバディー・ムービーでもある。なのに肝心のクライマックスでは黒人警官が不在。一番盛り上がるはずの所だったので、肩透かし感が半端なかった。それにあの展開であれば、他の同僚たちとの関係をもっとちゃんと描いておくべきだった。
主人公は、黒人警官の子供たちにビーチ・ボーイズを教えたりして影響を与えているのに、その逆に彼らから影響を受けてる様子はなくて、これもまたバランスが悪い。現代だったら色々と言われてしまいそうだ。ベタだがヒップホップ音楽を聴くようになったり、彼らのソウルフードであるホルモン料理が大好きになったりして、互いに良い影響を与え合っている風にしてくれていたら、どこか居心地の悪い思いをしなくて済んだかもしれない。
しかし、主人公の好きなミュージシャンがビーチ・ボーイズというのは、さすがに古臭い気がする。サーフィンをする白人の裕福な家庭の子供たち、というイメージで、白人文化を象徴するようなグループだからチョイスしたのだと思うが。
スタッフ/キャスト
監督 リチャード・ベンジャミン
出演 アンソニー・エドワーズ/フォレスト・ウィテカー/ペネロープ・アン・ミラー/デヴィッド・クレノン/ジョー・パントリアーノ/アート・エヴァンス/ワンダ・デ・ジーザス/グレン・プラマー
音楽 アラン・シルヴェストリ