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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「アンダーカバー・ブラザー」 2002

アンダーカバー・ブラザー (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 黒人組織と協力し、白人至上主義の悪の組織と戦うスパイエージェントの男。

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感想

 コメディ映画とはいえ、結構カジュアルに人種間の対立を描くのだなと軽く驚いた。ただ黒人組織が差別解消のために白人を雇ったり、そこで逆差別の少し気まずい思いをさせる描写もあったりしてしっかりとバランスを取っており、この映画を見たからといって対立が深まるようには描かれていない。

 

 これらを皮肉やジョークを散りばめながら描いていくのだから、一見おバカそうに見えて、かなり高度な事をやっていると言えそうだ。コメディはタブーに切り込んでこそ、みたいなところがあるかもしれない。

 

 主人公は70年代の黒人ファッションに身を包むスパイエージェントの男だ。いきなり「もみあげをつけたメイシー・グレイ」と形容されていて笑ってしまったが、きっと多くの人は分からない。この映画はおそらく黒人文化や白人文化との違いに対する知識がどれくらいあるかによって、楽しめるかどうかが決まってきそうだ。

 

 東京と大阪の文化の違いをネタにしたコメディ映画みたいなもので、他国の人にはあまり面白みが伝わらない類の映画だ。自分も笑うというよりは、そこが違うのかと感心してしまう場面の方が多かった。知識がなくても興味があれば、笑えなくても勉強にはなる。

 

 受け手の問題もあり、爆笑するほどではないが、冷え切った感じでもない、ほどほどのギャグが繰り広げられる映画となっている。そんな中で、白人文化に取り込まれてしまった主人公を責める仲間たちが、主人公と良い仲になった白人女性の話になると急に興味津々となるのが面白かった。

 

 それから黒人対白人で戦っていたのに、いつの間にか男たちは一緒になって女性たちのセクシーな戦いを楽しんでいたシーンも印象的だった。人間は肌の色だけでなく、年齢・性別・趣味嗜好などいくつもの属性を持っていて、それらのどれかに共通点があれば案外簡単に打ち解けられるものだ。肌の色だけに拘るなんて馬鹿らしいよね、と示唆しているようにも思えた。

 

 

 スパイ映画をパロディしただけの、なんてことのないストーリーなのだが、主人公と敵役がマイケル・ジャクソンの曲が流れる中で対決するクライマックスはなかなか盛り上がった。このシーンだけでなく全編で音楽の選曲が良く、内容はどうあれ音楽は良さそうという事前の予想どおりだった。なぜかジェームズ・ブラウンも出ている。そこそこ面白く音楽も良いので、暇つぶしにユルく見るには最適の映画といえる。

 

 

スタッフ/キャスト

監督 マルコム・D・リー

 

脚本/原案 ジョン・リドリー

 

出演 エディ・グリフィン/クリス・カッタン/デニース・リチャーズ/アーンジャニュー・エリス/デイブ・チャペル/チー・マクブライド/ニール・パトリック・ハリス/ゲイリー・アンソニー・ウィリアムズ/ビリー・ディー・ウィリアムズ/ジャック・ノースワーシー/ロバート・トランブル/J・D・ホール/ジェームズ・ブラウン

 

音楽 スタンリー・クラーク

 

 

 

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