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「アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男」 2015

アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

  第2次大戦後、西ドイツでナチス戦犯であるアドルフ・アイヒマンの告発に執念を燃やす検事長、フリッツ・バウアー。

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 ドイツ映画。

アドルフ・アイヒマン - Wikipedia

 

感想

 主人公の検事長、フリッツ・バウアーのキャラクターが良い。井上陽水ぽい後ろに重心があるようなオールバックの髪形で、頑固で一筋縄ではいかなさそうな、ふてぶてしい風貌をしている。 あまり感情を表に出さず、何を考えているのか分からないところがあるのに、それでもちゃんと感情が伝わってくるのは役者のうまさだろう。

 

 しかしナチスの戦犯たちを捕まえようにも、身内にナチの残党がたくさんいて足を引っ張られ、思うようにいかないというのはしんどそうだ。だが、国が立ち行かなくなってしまうので、だからといってナチスドイツ時代の役人を全員辞めさせてしまうわけにもいかない。国を一新させるときにはこういう難しさがある。だがそんな状況でも、信念を貫く人がいるからこそ国は変わっていける。妨害に負けずに戦後処理を進めることで本当の意味で戦争が終わり、新しい時代が始まる。

 

 映画としては、主人公の目指したような結末を迎えることは出来ず、厳しい現実を目の当たりにすることになり、もどかしい気分になった。だがそれは事実がそうだったのだから仕方がない。それから、同性愛のくだりも出てきて、それと信念の問題を絡めてはいるのだろうが、それが同性愛である必要はあったのか?と思ってしまった。ただ、これも実際にあったことなのかもしれない。

 

 

 そしてこのドイツの話は、同じく敗戦国である日本の場合とどうしても比較してしまう。ナチスドイツと決別した彼らと未だに大日本帝国を引きずる日本。戦犯を総理にしてしまったりと、しっかりとけじめをつけることが出来なかったから、未だに大日本帝国を賛美しちゃう人がたくさん出てきてしまったりするのだろう。

 

 しかも彼らが概して、かつての軍国少年のような無邪気な幼さを見せているのが気になる。テレビ出演した主人公が若者たちに語りかけていたが、日本にはこんな風に大事な事を伝えられる大人がいなかったという事なのかもしれない。あるいは、そんな話に耳を傾けずに育った幼稚な大人が社会的地位のある立場につけてしまう未熟な社会、という事なのかもしれないが。

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ラース・クラウメ

 

出演 ブルクハルト・クラウスナー /ロナルト・ツェアフェルト

 

アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男 - Wikipedia

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登場する人物

フリッツ・バウアー/アドルフ・アイヒマン 

 

  

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