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「忘れないと誓ったぼくがいた」 2015

忘れないと誓ったぼくがいた

★★☆☆☆

 

あらすじ

  誰からもすぐに忘れ去られてしまう女子高生と恋に落ちてしまった男子高生。

 

感想

 主人公と恋に落ちる女子高生が序盤、挙動不審すぎてイライラする。最初は鈍いリアクションに目か耳に障害のある人なのかと疑ってしまったし、その次はあまりの神出鬼没ぶりに幽霊的な何かかと勘違いしてしまった。違和感満載で会話の受け答えもギクシャクしており、なんだよコイツ、と反感ばかりが高まる。

 

 そして、彼女がどういう状況にあるかが明かされた時は、それなら別に彼女が不思議少女である必要はないのだから、なんで普通の感じにしなかったのだ、とまた憤りを覚えてしまった。のちのち、彼女にはそうなってもおかしくないような理由があったことが示されるのだが、説得力は弱かった。ついでに言うと、演じている早見あかりのような外見の人は、そんな目に遭わないような気がするので、ミスキャスト感もある。演技が下手だとは思わないが。

 

 

 自分の事を皆が忘れていくというアイデアのSF設定自体は面白いと思う。ただ、そこはさらっと触れるだけですぐに恋愛話に入っていってしまうので、いやいやその前にその設定について色々考えてみようよ、と言いたくなる。突然体が入れ替わってしまったら元に戻そうとするし、時間がループするならそこから抜け出そうと普通は色々と試行錯誤するものでしょ、と。とはいえ、どのタイミングで忘れてしまい、再会したらどうなるのかとかが曖昧で、設定が作り込まれておらず雑そうなので、深堀りされたら困りそうではあるが。それから彼女が連絡を取れないように、スマホを持っていない設定にしていて、あまりに都合が良すぎてなんかムカつく。

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 そして恋愛の面において一番よく分からないのが、主人公が完全に相手の事を忘れてしまい、顔すらも思い出せないのにどうやって恋愛感情を保つのかという事。忘れてしまった主人公にとって彼女はもはや赤の他人でしかないわけで、それなのに恋人のフリをするのは苦痛でしかないはずだ。そこまでして必死につき合わなければいけない意味がよく分からない。出会う度に毎回恋に落ちるのならまだ理解できるのだが。

 

 老人ホームで痴ほう症の話も出てくるので、記憶を失っていくことについての何かを描きたかったのだとは思うが、それならこんなに愛しているのにそれでも忘れていってしまう、という事についての恐怖を描いた方が良かったような気がする。それなら共感できる。この映画で描いているのは、好きだったのに忘れてしまうなんて申し訳ない、という自責の念だ。となるとこれは恋愛の話でははなく、義理人情の話。お世話になった人に不義理な事をしてしまった…というような。そういう話が描きたいのなら、やくざ映画でも撮ってればいいのに、と思ってしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 堀江慶

 

原作 忘れないと誓ったぼくがいた(新潮文庫)

 

出演 村上虹郎/早見あかり/ちはる/山崎樹範/ミッキー・カーチス

 

忘れないと誓ったぼくがいた - Wikipedia

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