★★★☆☆
あらすじ
ソ連で開発された新型戦闘機「ファイヤーフォックス」を盗み出す指令を与えられたアメリカ人の元パイロット。日本で起きた「ミグ25事件(ベレンコ中尉亡命事件)」にヒントを得た小説が原作。
感想
敵国の戦闘機を盗み出すという発想が荒唐無稽過ぎて面白い。まるで子供の無邪気な空想のようだが、こんな事を毎日考えていてもリアリストだと見なされ、さらにはお国のために尽くしていると感謝され尊敬されるのだから、軍人もなかなか楽しい仕事なのかもしれない。逆に、彼らのこんな戦争ごっこの延長のような作戦を実現するために、国民は毎日せっせと働き、多額の税金を納めているのかと考えると感慨深いものがある。
前半は主人公がソ連に潜入し、戦闘機を奪うまでが描かれる。主人公はパイロットとしては一流だがスパイとしては素人のため、現地の諜報員の力を借りて何とか任務をこなしている。演じるクリント・イーストウッドはいつもスーパーヒーロー感があるのに、ここではサポートする諜報員たちに使えない奴扱いされ、イラつかれているのがなんだか新鮮で面白かった。時々ムッとして言い返したりはするのだが、基本的には従順だ。
そして遂に戦闘機を盗み出した後半は、本職のパイロットである主人公の面目躍如。いつものタフでカッコいいクリント・イーストウッドが見られる。戦闘機が飛ぶシーンは、下手をしたら単調でつまらないものになってしまいそうだが、ちゃんと爽快感があって、観ているだけでも気持ちの良い映像に仕上がっていた。なんとなく「スター・ウォーズ」と雰囲気が似ているなと思ったら、同じスタッフたちが担当したようだ。
ソ連軍の中枢に潜入するハラハラドキドキ感あり、戦闘機による空中戦の爽快なアクションありと、色々と楽しめるエンターテイメント作品。現地の諜報員たちの命がけの任務に対する矜持もしっかりと描かれていて好感が持てる。ただこれだと、ソ連スゴイになっちゃうけどそれはいいのか?と思わなくもないが。すごい戦闘機を作れるし、優秀な軍人もいるし、ナイスガイなパイロットもいるけど、戦闘機を盗まれるオッチョコチョイなところがあるのでチャラということか。
スタッフ/キャスト
監督/製作/出演
出演 フレディ・ジョーンズ/ウォーレン・クラーク/ロナルド・レイシー/ナイジェル・ホーソーン/ヴォルフ・カーラー/クライヴ・メリソン/アラン・ティルヴァーン