★★★☆☆
あらすじ
安全な池から一歩も出ることなく暮らしていたマガモ一家は、やってきた渡り鳥に影響され、ジャマイカ行きを決意する。
エリザベス・バンクス、オークワフィナ、ダニー・デヴィートら出演(声)。原題は「Migration」。83分。
感想
安全第一で池から出ることなく暮らしていたマガモ一家の物語だ。一家の主である父親は、何も起こらないであろう分かり切った将来に空しさを覚え、好奇心旺盛な子どもたちに後押しされるように、越冬のために家族でジャマイカに渡ることを決意する。
嵐の中でサギに絡まれて怖い思いをしたり、都会でハトたちと交流したりする冒険の様子が描かれていく。とにかくリスクを恐れてこれまで何もしていなかった割には、彼らは普通に勇敢だ。ちゃんと困難に立ち向かう。
だが何かあるとすぐに逃げたり隠れたりするような、ビビり散らかすシーンがあった方がリアルだったような気がする。その方が、旅によってたくましく成長していく姿をもっとドラマチックに描けたかもしれない。
旅の途中で彼らが見つけたガチョウたちの楽園が、ユートピアかと思いきやディストピアだった、となる場面は寓話的で味わい深かった。ただ冷静に考えると、最後の時まで幸せに暮らせるのだからこれでいいような気もする。
人間側の論理としては、やむを得ないことをしているわけなので、せめて生きている間の福利厚生くらいはちゃんとしてあげようという温情とも言える。もちろん、品質管理をしているだけ、とも言えてしまうわけだが。
ニューヨークのビル群の間を縫って飛び回るシーンは見ごたえがあるし、ダンスやコミカルなシーンは楽しい。だがストーリーに新鮮味がないので、大人には物足りなさを感じてしまいそうだ。それにキャラクターも魅力に乏しく、末娘のおねだりシーンも全然可愛くなくて困惑した。
ただ、ちゃんと王道的な冒険物語になっているので、子どもが見るなら十分満足できそうなキッズ映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/原案 バンジャマン・レネール
脚本/原案 マイク・ホワイト
出演 クメイル・ナンジアニ/エリザベス・バンクス/キーガン=マイケル・キー/オークワフィナ/ダニー・デヴィート/キャロル・ケイン/イザベラ・メルセード
