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「ゲティ家の身代金」 2017

ゲティ家の身代金(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 世界一の富豪、ジャン・ポール・ゲティの孫が誘拐され、その母親は義父に身代金の援助を頼むが断られてしまう。事実を基にした作品。133分。

 

感想

 世界一の大富豪の孫が誘拐されるも、その富豪は身代金を払うことを一切拒否するという驚くべき話なのだが、これが実話なのだからすごい。このジャン・ポール・ゲティという人物のことは知らなかったが、自身の豪邸に公衆電話を設置して客から金をとっていたとか、なかなかケチな人物だったらしくて色々と面白い。途中で出てくる年代物のオブジェのエピソードも良かった。クリストファー・プラマー演じるこの富豪に対する興味で映画が持っている。

 

 この映画の主人公は、そんな富豪の息子と結婚し子供をもうけるも離婚してしまった女。誘拐された息子は確かに富豪の孫ではあるのだが、離婚の際に引き取って距離を取って暮らしていたせいもあるのか、身代金を出してくれない義父である富豪に苛立ちを覚えている。しかし子供の身に危険が迫っているというのに、身内と戦わなければならないというのはしんどい。誘拐犯と対峙するというよりも、誘拐犯と主人公でどうやって富豪から金を引っ張るか、協力して相談するような構図になってしまっている。

 

 

 ただ誘拐犯たちもなかなかすごい。最初の誘拐犯たちは金がなかなか出てこないと判断すると、別の組織に人質を売ってしまう。誘拐がちゃんとビジネスとして確立しているような印象だ。脅しのために人質の体の一部を切り落とすときもちゃんと医者を呼んでいて、こういうのは適当に勢いでやるものだと思っていたので意外だった。福利厚生がしっかりしているなと妙に感心してしまった。最近は紛争地帯以外で金銭目的の誘拐の話を聞かなくなったが、費用対効果がビジネスとして割に合わなくなったという事なのだろう。人知れず起きているのかもしれないが、日本でもめっきり金銭目的の誘拐事件のニュースを目にしなくなった。

 

 2時間を超える大作だがそれを感じさせず、一気に見ることが出来た。だが振り返ってみると、主人公は金の工面をしていただけだし、マーク・ウォールバーグ演じるサポート役の男も大きなミスで状況を悪くした以外に特に何もしていない。よく考えてみると、結局身代金を渡して解決しただけの普通の誘拐事件だ。こういう映画は身代金の奪還とか犯人への復讐とかのスペクタクルを期待してしまうが、実話なのだからこんなものだろう。食えない富豪に犯人を含めた関係者が振り回される様子を味わう映画となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作

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原作 ゲティ家の身代金 (ハーパーBOOKS)


出演 ミシェル・ウィリアムズ/クリストファー・プラマー/マーク・ウォールバーグ/チャーリー・プラマー/ティモシー・ハットン/ロマン・デュリス/ロマン・デュリス

 

ゲティ家の身代金(字幕版)

ゲティ家の身代金(字幕版)

  • ミシェル・ウィリアムズ
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ゲティ家の身代金 - Wikipedia

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登場する人物

ジャン・ポール・ゲティ/ジョン・ポール・ゲティ3世/ジョン・ポール・ゲティ・ジュニア

 

 

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