★★☆☆☆
あらすじ
幼い頃に父親を殺され復讐のために生きる男は、ある男に復讐相手の情報と引き換えに組織に入るよう勧誘される。GIジョーの人気キャラクター「スネークアイズ」誕生を描くスピンオフ作品。
シリーズ第3作目でリブート作品。原題は「Snake Eyes: G.I. Joe Origins」。121分。
感想
リブート作品とはいえ前の2作とだいたい同じでミリタリーものだろうと思っていたのに、終始忍者ものでイライラする。GIジョーの人気キャラ「スネークアイズ」の誕生を描く物語だ。
これは邦題に問題がある。「GIジョー外伝 スネークアイズ誕生!」みたいな原題と近い感じのニュアンスにしてくれていれば、ちゃんと忍者ものを見る心構えが出来ていたはずだ。スネークアイズがメインのミリタリーものかと思ってしまっていた。
そしてストーリーもモヤモヤする。物語は、父親の復讐に燃える主人公が、復讐相手の情報を持つ男のスカウトに応じてヤクザ組織の一員になることから始まる。わざわざエサをチラつかせてスカウトするくらいだから、当然幹部候補なのかと思ったら、普通に下っ端として働かされていて脱力してしまった。
さらに色々あって敵対する組織に付くことになるのだが、そこでは希望してもいないのに勝手に忍者になる試験を受けさせられているし、その試験もなんだそれ?となってしまうような腰砕けなものだった。主人公の最大の目的は復讐のはずなのに、全然関係ないことばかりしていてずっと遠回りしている。彼が巻き込まれた二つの集団の抗争にも何の思い入れもないので、知らんがな、としか思えなかった。主人公もなんで見切りをつけて去らないのだと腹立たしくなる。
中盤になって、ようやく主人公にこの抗争に協力するべき理由が与えられるのだが遅すぎる。そして、最終的にはミイラ取りがミイラになったみたいな展開となっていく。だがこれも、彼らとの絆が特に深まったような描写もなかったので不可解が過ぎた。最初から最後まで一切物語に入り込むことができないままに終わってしまった。主人公に感情移入すらできなかった。
そもそも前作まででもスネークアイズのパートが邪魔だなと思っていたので、それだけをフィーチャーしてきた時点であまり乗り気でなかったのもある。それにリブートなので当然なのだろうが、前作までで明らかになっていたスネークアイズの過去とは似ても似つかず、かすりもしない全く別の話になっているのもどこか腑に落ちなかった。
ストーリーは徹頭徹尾つまらないのだが、なぜかプロダクションデザインだけは素晴らしい。日本がメインの舞台だが、立派な城や庭園、屋敷などがロケ地として使われていて見ごたえがある。日本の伝統的な建造物だけでなく、狭い路地にネオン看板といった日本的現代都市の景観も面白い。外国人がイメージする日本がうまく表現されていて興味深かった。
こういうのは日本人が見るとげんなりするような、雰囲気だけで誤魔化すちゃちなものが多いが、ちゃんと納得できるものに仕上がっている。英語と日本語が入り混じるエンドクレジットも面白い。ストーリーがしょうもないだけに、逆にその背景のプロダクションデザインに集中できて堪能できる。
忍者にふんわりと憧れている人にとっては、ふんわりと楽しめるようになっているふんわりとした映画だ。
スタッフ/キャスト
監督 ロベルト・シュヴェンケ
出演 ヘンリー・ゴールディング/アンドリュー・小路/ウルスラ・コルベロ/サマラ・ウィーヴィング/安部春香/平岳大/イコ・ウワイス/石田えり/イコ・ウワイス/ ピーター・メンサー/ジェームズ・ヒロユキ・リャオ/モジョ・ローリー
G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ - Wikipedia
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前作 シリーズ第2作