★★★☆☆
あらすじ
敵に乗っ取られたアメリカ政府によって攻撃され、壊滅状態に陥ったG.I.ジョーは、生き残ったメンバーで反撃を試みる。
シリーズ第2作。原題は「G.I. Joe: Retaliation」。110分。
感想
前回主演のチャニング・テイタムが映画途中で退場し、代わりにドウェイン・ジョンソンが主役となる。前作の主演が最初からいないわけでも、過去映像だけの出演にとどまるわけでもなく、こんな形でいなくなるのはなかなか珍しい。この交代劇は演出的に面白いからと敢えてやったのか、何らかの事情があったのか、気になってしまう。ドウェイン・ジョンソンは、出演していなかった映画の続編で主演を務めがちだ。
テンポはいいが何も残らなかった前作と違い、今回はしっかりと緩急がついたまともな展開となっている。アクションも見応えがあってそれなりの満足感があった。児童向けみたいだった内容もだいぶ大人の鑑賞に堪えるものへと改められている。だが、GIジョーのメンバー、スネーク・アイズが出てくるパートだけは子供っぽいままで、辛いものがあった。
そもそも全身真っ黒で何も喋らないスネーク・アイズのキャラクターに全然魅力を感じない。忍者なのも今さら感があるし、敵が白で味方は黄色と、見分けやすいくっきりとした色分けをしているところも戦隊もののようで幼児向けみたいだ。敵役を演じるイ・ビョンホンも、真面目にやっているのになぜかコミカル臭が漂っていて、全体的にチープ感が漂っている。このパートが邪魔だなと思ってしまった。
ただ、スネーク・アイズは次作ではメインに据えられているので、人気のキャラクターなのだろう。原作のおもちゃやアニメに親しんだ人には違和感がないのかもしれない。今回は、悪役たちにそんな設定があったのかと驚かされることが多かったが、おもちゃやアニメの設定を多く引き継いでいるのだろう。それらを知らずに見ているものだから、その箇所になると急に距離を感じてしまう。だがそれがないと「GIジョー」である必要はなくなってしまうのだろうから難しいところだ。
前作でまき散らしてしまった伏線をどうにか回収しながら、なんとか上手くまとめた印象の物語だ。そのせいでいくつかおかしな点が出てきているが、中でも、世界各国から精鋭を集めた部隊のはずだったGIジョーが、アメリカの所属だったことには強烈な違和感があった。だが、いかにもジャイアン的なアメリカらしい発想ではある。
乗っ取られたアメリカを取り戻そうとした主人公らが、現場に行ったら世界の危機だったのでついでに世界も救う。このついでな感じが盛り上がりを抑制してしまっているが、それなり楽しめた。内容は格段に良くなったが、前作の間違えて面白いパロディ映画になっちゃいました、みたいな怪作感が一切なくなってしまったのは寂しくもある。
スタッフ/キャスト
監督 ジョン・M・チュウ
出演 ドウェイン・ジョンソン/ブルース・ウィリス/チャニング・テイタム/イ・ビョンホン/レイ・パーク/エイドリアンヌ・パリッキ/D・J・コトローナ/レイ・スティーヴンソン/アーノルド・ヴォスルー/エロディ・ユン/ジョセフ・マゼロ/ライアン・ハンセン/ロバート・ベイカー(声)/ジョナサン・プライス/RZA/ウォルトン・ゴギンズ
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