★★★☆☆
あらすじ
ベトナム戦争のために現地にやって来たグリーンベレーの隊員たちは、アメリカの内戦介入に懐疑的な記者を従軍させて各種作戦を実行していく。
原題は「The Green Berets」。141分。
感想
さすがに今の戦争映画と比べるとテンポがゆったりとしていて迫力は劣ってしまうが、米軍の全面協力を得て撮影しているだけあって、本物のヘリや輸送機などを使い、人数をかけた大掛かりな戦闘シーンは見ごたえがある。カット割りは少なく、ロングショットでつないで撮影していく雄大で古典的な戦争映画といった趣だ。火力を使った爆撃シーンも迫力があり、燃え上がる戦場に鉄条網に引っ掛かった兵士の死体が浮かび上がるシーンは強烈な印象を残す。
ベトナムに到着したグリーンベレー部隊が、前線キャンプの防衛や敵将校の拉致など、様々な任務をこなしていく物語だ。それぞれの任務の様子自体は普通に面白いのだが、映画全体を通して伝わってくるベトナム戦争肯定のプロパガンダ臭さが気になってしまって、素直に楽しむことが出来ないのが残念だ。
特に、部隊に従軍したアメリカの内戦介入に懐疑的な記者が、あっさりと感化され取り込まれてしまったのには驚いてしまった。そうなっても仕方がないような描写があったのなら分かるのだが、特にアメリカの介入が必要かもしれないなと思うようなシーンがあったわけでもなく、普通のよくある戦争描写が続いただけなので、何を見て方針展開したのか不思議だ。だがこうやって簡単にミイラ取りがミイラ取りになり、相手に利用されてしまう人は多いのだろう。
そして主人公以外の兵士たちはほぼ戦死してしまうので、戦争肯定のプロパガンダとしてもどうなのだろうと懐疑的になる。しかしこれは、戦争を賛美する人たちに典型的な姿なのかもしれない。彼らはなぜか当然自分は生き残る前提で戦争を語る。そして勇敢に戦い、死んでいった仲間を讃えて甘美な感傷に耽り、幼稚でヒロイックな幻想を抱く。
ほとんどの人はこの映画を見て、大勢死んじゃうのだから戦争なんかに行きたくない、と思うのだろう。だが彼らは、生き残る主人公にだけ自分を重ね、まさか死んでいったその他大勢の兵士に自分がなってしまうなんて想像もしないのだろう。ある意味でおめでたい性格だ。羨ましい。
ベトナム戦争の映画だという事を無視して見れば悪くない戦争映画なのだが、そう簡単に無視する事なんかできないのが難点だ。
スタッフ/キャスト
監督/出演 ジョン・ウェイン
監督 レイ・ケロッグ/*マーヴィン・ルロイ
*クレジット無し
原作 グリーン・ベレー―ベトナムのアメリカ特殊部隊 (1965年)
製作 マイケル・ウェイン
出演 デヴィッド・ジャンセン/ジム・ハットン/アルド・レイ/ブルース・キャボット/ジャック・スー/ジョージ・タケイ/パトリック・ウェイン/ルーク・アスキュー/マイク・ヘンリー