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「ヒトラーの贋札」 2007

ヒトラーの贋札(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 パスポートの偽造などで羽振り良く暮らしていたユダヤ人は、逮捕されて強制収容所に送られるが、その腕を見込まれてナチスドイツの贋札づくりに協力させられる。

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 ナチス・ドイツによって実行された紙幣偽造作戦「ベルンハルト作戦」を題材とした作品。アカデミー賞外国語映画賞。96分。

ベルンハルト作戦 - Wikipedia

 

感想

 偽造が得意なユダヤ人が主人公だ。逮捕されて収容所に送られるが、何とか生き延び、やがてナチスドイツの紙幣偽造作戦に取り立てられる。

 

 その他大勢のユダヤ人のひとりとして強制労働させられていた主人公が、絵の才能をアピールすることで良い待遇を手に入れるシーンは印象的だ。何もしなければいつか殺される状況で、自ら動くことでリスクを減らすことに成功した。現状に甘んじず、チャレンジすることの大切さを思い知らされる。

 

 

 そしてナチスの作戦に参加することになった主人公は、ふかふかのベッドや十分な食事など、さらなる好待遇を得る。彼らを排斥するナチスだが、それでも有能であればそれなりの待遇を与えようとするのは興味深い。ちゃんと仕事をしてもらおうとすれば、自然とちゃんとした待遇を与えるものなのかもしれない。

 

 主人公ら集められたユダヤ人たちは、それぞれ特別な技能を持っている。しかし、その立場はそれぞれ異なっていた。元は銀行家から印刷工、さらには主人公のような犯罪者までいる。それまで資本家と共産主義者という敵対関係にあったり、主人公のような犯罪者に嫌悪感を示す者もいて、呉越同舟の雰囲気の中で共同の任務にあたっている。

 

 また、任務に対する姿勢もそれぞれだ。とにかく生き延びることが出来れば何でもいいと考える者から、同胞を殺した敵を利するわけにはいかないと、サボタージュする者もいる。

 

 中でも仲間の処刑をちらつかせながら仕事を急がせる少佐に対して、それでもサボタージュをやめない男は強く印象に残った。死にたくない仲間たちが必死に頼んでも頑なに聞き入れず、空気を読まない厄介な男みたいになっていたが、冷静に考えれば彼の考えも間違ってはいない。結果的にドイツの敗戦を後押ししたともいえる。

 

 そんな状況で主人公は、自身の仕事への誇りを持ちつつ、保身だけでなく時に仲間も気遣い、またサボタージュする男にも理解を示しながら、なんとか日々を生き抜いていく。何にプライオリティを置くかでやるべきことが変わるので、何が正解なのかと分からなくなり、混乱してくる。カオスだ。

 

 終戦まで生き残れた主人公だが、彼のやり方が正しかったとは言い切れないのがまた、何とも言えない気持ちにさせられる。最初のアピールで、不機嫌な看守に殺されていた可能性だってあったわけで、結局は運でしかない。

 

 贋札で豪遊するラストで、主人公が空しい表情を浮かべていたのも分かるような気がする。カオスの中でギャンブルをしなければいけない戦争なんてしない方がいい。あんな体験をしてしまったら、もはや元のようには笑えない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 シュテファン・ルツォヴィツキー

 

原作 ヒトラーの贋札 悪魔の工房

 

出演 カール・マルコヴィックス/アウグスト・ディール/デーフィト・シュトリーゾフ/アウグスト・ツィルナー/マルティン・ブラムバッハ

 

ヒトラーの贋札(字幕版)

ヒトラーの贋札(字幕版)

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ヒトラーの贋札 - Wikipedia

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