★★★★☆
あらすじ
第2次世界大戦のナチス・ドイツ占領下のポーランド。迫害から逃れたユダヤ人の兄弟は、同胞を受け入れながら森の中で隠れ住むようになる。
実話を基にした物語。
感想
ある日突然に親兄弟を殺されたりするなんて辛すぎる。そして自分も何をしたわけでもないのに命を狙われているとか訳が分からない。そんな状況で現実を受け入れ、それでも生き抜こうとするのはなかなか出来る事ではない。
しかし、森の中に逃げ込んだだけでそれなりに安全だというのは意外だった。想像している森の規模が違うのだろうし、数人の民間人を捕まえるために相手も労力をかけることはないと考えていたのかもしれない。
ただ、ダニエル・クレイグ演じる主人公らは、ナチス・ドイツやその協力者を攻撃したり、別の場所のユダヤ人たちを救い出したりしているので、ただ隠れて暮らしている、というわけでもない。義侠心があるというか、反抗心があるというか。人数が増えれば見つかる危険も高くなるのに、それでも助けを求めてやってくる人たちを拒まなかったのは、そんな思いがあったからだろう。
それにしても、そんな主人公はそもそも何者なのだ?というのはある。敵とは怯むことなく堂々と対峙し、老若男女の集団をまとめ上げてうまく統率するなんて、相当の人物じゃないと無理だと思うのだが。戦前、戦中は色々とあるということなのか、この森での集団生活を含めて、詳細を曖昧にした感じの描写も多いように感じた。
困窮を極めるキャンプ生活や、兄弟の確執、一部の反乱など、しんどい描写が続く。これでも収容所送りにされたりするよりは全然まし、という事実が、更にしんどい気持ちにさせられる。耐えるしかない。捕まえたドイツ兵に対して、善良そうだったメンバーの怒りや憎しみの感情が止まらなくなるシーンは印象的だった。
そして、ラストのモーゼが海を割ったエピソードを思わせる大移動からの激しい戦闘、そしてエンディングの流れには胸が熱くなった。リーヴ・シュレイバー演じる弟がカッコ良すぎだった。
ポーランドでは彼らの事を、同じポーランド人から略奪して生き延びた、ただの山賊集団だったという評価もあるようだが、じゃあ何もしないで死ねば良かったのか?と思ってしまう。とはいえ、彼らのせいで死んだ人もいるかもしれないので、難しいところではある。
終戦時にはこの集団の規模が1200人になっていたというのもすごい。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 エドワード・ズウィック
製作総指揮 マーシャル・ハースコヴィッツ
出演 ダニエル・クレイグ/リーヴ・シュレイバー/ジェイミー・ベル/アレクサ・ダヴァロス/マーク・フォイアスタイン/トーマス・アラナ/イーベン・ヤイレ/ラヴィル・イシヤノフ/ジョージ・マッケイ/ミア・ワシコウスカ