★★★★☆
あらすじ
人類に反抗し、地球に侵入してきた人造人間レプリカントを、抹殺するように依頼された元捜査官。
ハリソン・フォード主演、リドリー・スコット監督。フィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」が原作。1982年の作品を監督自ら再編集・デジタル修正を施したバージョン。117分。
感想
SF映画の金字塔という前提知識があるせいか、冒頭の上空から未来都市をゆっくりと映し出す映像とヴァンゲリスのどこか不穏で荘厳な音楽だけでもうグッとくる。しかし映画の舞台は2019年で、今となってはもはや過去なのかと、しみじみしてしまう。
空から見ればきらびやかな未来都市も、地上に降りてみればじめじめとした湿気に覆われた雑然とした街並みで、その中を怪しげな人々が行き交ういかがわしい雰囲気に満ちている。今では定番の描写だが、これもこの映画から始まった。
主人公は人類に紛れ込んだ4体のレプリカントを追い、抹殺しようとしている。静かに淡々と進行し、ハードボイルドな探偵もののようだ。
レプリカントと発覚した男の部屋から入手した手がかりをもとに、主人公はまず一体目のレプリカントを見つけ出し抹殺する。全部で四体だからこれがあと三回続くのかと若干かったるさを覚えたが、それを見てもう一体がすぐに現れ、またあとの二人は行動を共にしていたので、効率的なプロットに感心させられた。
レプリカントは、感情が芽生えて面倒くさいことになる前に寿命を迎える仕様になっている。逃げたレプリカントらはそれを阻止しようと画策している。だが死にたくないと思っている時点で、もはやそれは機械ではなく生き物なのでは?と思ってしまう。
また芽生えた感情をうまく処理するためには過去の想い出が必要、という設定もよく出来ている。人間は経験を積むことで理性的に振る舞えるようになるし、過去の想い出があるから自分が自分であるという感覚が持てる。秘書のレプリカントが、それは嘘の過去だと主人公に指摘され、激しく動揺するシーンは印象的だ。
どうにもならない運命に怒り狂い、主人公を追い詰めたレプリカントのリーダーが、土壇場で取った行動には胸を打たれた。もはや人間と見分けがつかない言動をするレプリカントを、わざわざ区別する必要はあるのかと考え込んでしまう。
主人公が秘書のレプリカントと共に去るラストは、そんな思いを代弁してくれているかのようだった。世間には主人公もレプリカントだった説があり、ヒトラーもユダヤ人だった説のような興味深さがあるのは確かだが、個人的にはやはり主人公は人間だったと思いたい。
スタッフ/キャスト
監督
脚本/製作総指揮 ハンプトン・ファンチャー
脚本 デヴィッド・ピープルズ
製作総指揮 ブライアン・ケリー/ジェリー・ペレンチオ/バッド・ヨーキン/邵逸夫*
*クレジットなし
出演
ルトガー・ハウアー/ショーン・ヤング/エドワード・ジェームズ・オルモス/M・エメット・ウォルシュ/ダリル・ハンナ/ウィリアム・サンダーソン/ブライオン・ジェームズ/ジョー・ターケル/ジョアンナ・キャシディ/ジェームズ・ホン/ロバート・オカザキ
音楽 ヴァンゲリス
編集 テリー・ローリングス/マーシャ・ナカシマ
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