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「危いことなら銭になる」 1962

危いことなら銭になる

★★★☆☆

 

あらすじ

 裏組織による紙幣偽造計画の情報を掴み、一儲けを狙ってそれぞれ接触を図る三人の男たち。タイトルの読みは「危(やば)いことなら銭(ぜに)になる」。

 

感想

 贋札づくりに関わろうとする三人の男たちの物語だ。ことの発端はある組織が紙幣印刷用の紙を強奪した事件なのだが、三人がそれを横取りしてやろうと企むのではなく、いっちょ噛みして金を稼ごうとしているだけなのがセコくて良い。抜け駆けして組織に接触を図り、紹介料だの、マージンだのを要求しようとする三人の争いがコミカルに描かれていく。

 

 宍戸錠、長門裕之、草薙幸二郎演じる三人の男たちはそれぞれキャラが立っていて、それを生かした活躍を見せている。この三人に加わる紅一点の浅丘ルリ子演じる女も物語のいいアクセントだ。彼女は武道の達人の設定なので、女性の弱点になりがちな腕力や性的な部分が問題とならず、男たちと対等にやり合っているのがいい。

 

 

 最終的に4人は組織から命を狙われるようになってしまう。だが組織からすれば、綿密な計画を立ててそれに沿って実行しているのに、周辺をウロチョロして口出しまでしてくる4人が目障りなのは当たり前の話だ。ここから4人が共闘して組織と戦うことになる。

 

 序盤の4人の出し抜き合戦はあまりメリハリがなく、いまいちキレがなかったのだが、皆が手を組んだ終盤からはグッと面白くなった。閉じ込められた部屋からの脱出、エレベーター内での攻防戦、そして最後の銃撃戦と、緊張感があって見応えがあった。銃撃戦後のアメリカン・ニューシネマのような余韻も味わい深い。それよりも前に作られている映画だが。

 

 冒頭の紙幣が舞うタイトルバックも印象的で、フランス映画「地下室のメロディ(1963)を思い起こさせたが、これもそれよりも前の映画だった。娯楽映画ではあるが当時の世界の映画シーンとのつながりを感じる作品となっている。

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スタッフ/キャスト

監督 中平康

 

脚本 池田一朗(隆慶一郎)/山崎忠昭

 

原作 紙の罠 (ちくま文庫)


出演 宍戸錠/長門裕之/浅丘ルリ子/郷鍈治/左卜全/草薙幸二郎/野呂圭介/中尾彬

 

撮影    姫田真佐久

 

危いことなら銭になる - Wikipedia

 

 

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