★★★★☆
あらすじ
何者かに20年間解禁され、その間に妻殺害の犯人にも仕立てられてしまった男は、ある日突然解放される。2003年の韓国映画「オールド・ボーイ」のリメイク。
感想
わけも分からず拉致監禁されてしまった主人公。最初はすぐに誰かが現れ、その理由を明かして物語が展開していくのかと思っていたが、そんなものは何もなくそのまま監禁が20年間続く。主人公の伸びた髪やひげ、それに時事的なニュースで20年の時の経過を表現するのは上手かった。しかしこんな状態でいつ終わるともなく監禁が続くのは、正気を失ってしまいそうだ。
元々、家族を顧みず酒におぼれていた主人公は、最初こそ絶望し自暴自棄になっていたが、愛する娘と再会すること、こんな目に遭わせた何者かに復讐することを誓って酒を断ち、日々の鍛錬を行うようになる。さらには脱出のための様々な試行錯誤も始める。人が正気を保つにはやはり「希望」が必要なのかもしれない。
そしてついに念願叶って脱出できるかと思ったその矢先に、なぜか突然解放された主人公。わけも分からず拉致監禁され、そしてわけも分からず20年後に突然解放されるなんて理不尽でシュールすぎる。
そして主人公は、まず自分をこんな目に遭わせた何者かに対する復讐に乗り出す。監禁中に何度も食事に出てきた餃子の味から犯人の手掛かりをつかみ、アジトへと乗り込んでいく。この時の、肉弾戦でもなく銃撃戦でもない、金づち一つで敵と戦うアクションシーンがなかなか新鮮だった。
武器が軽いので、スピード感あふれる軽快な動きで次々と敵を倒していく。大抵アクションシーンといえば重いパンチや弾丸の衝撃といった重厚感が重視されるが、これは軽やかで印象に残る。その後もバットやナイフ等、軽量な武器が使われており、主人公がそれらを振り回して20年間の鬱憤を吐き出しているかのようだった。
やがて自ら正体を現した犯人の誘いに乗り、たまたま知り合った若い女性と共に自らが監禁された理由を探ることになった主人公。ただ理由が明らかになるにつれ、そんなことでこんな仕打ちをされてしまうほど恨まれてしまうのか、と思わなくもなかった。
確かにそれが一家の破滅につながったのかもしれないが、それは結局遅かれ早かれ、彼らに訪れる未来だったような気がする。そもそも家族の問題だし、軽率な行動をした相手側に非があるように感じるし、主人公も忘れてしまっていたような出来事でもあった。しかし相手の立場に立って考えてみれば、やられた事は忘れないだろうから、実際のきっかけを作った主人公のせいにして逆恨みしてしまうのは仕方がないことなのかもしれない。見てはいけないものを見てしまった主人公が不運だったと言える。
そして衝撃の結末、なのだが、リメイク元の韓国映画を見た時の衝撃がまだ忘れられず、そのオチを完全に覚えていたので、残念ながらそれに関しては全然驚くことができなかった。正直言うと途中から、これがオチにつながっていくんだよな、などと思いながら見ていたのだが、覚えているオチを意識的に忘れることなんて出来ないのでこれは仕方がない。ただ細かい話の流れは覚えていなかったので、その部分では楽しめた。
スタッフ/キャスト
監督/製作 スパイク・リー
出演 ジョシュ・ブローリン/エリザベス・オルセン/シャールト・コプリー/マイケル・インペリオリ/ポム・クレメンティエフ/ジェームズ・ランソン/マックス・カセラ/リンダ・エモンド/ラミ・マレック/ランス・レディック/ハンナ・ウェア/リチャード・ポートナウ/ハンナ・シモーヌ/ケイトリン・ダラニー/グレイ・デイモン
編集 バリー・アレクサンダー・ブラウン
オールド・ボーイ (2013年の映画) - Wikipedia
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