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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「人生の特等席」 2012

人生の特等席 (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 選手を見るため各地を巡る老齢のプロ野球スカウトの父親と、彼の健康を心配して同行することにした弁護士の娘。

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感想

 視力が衰えたメジャーリーグの老スカウトが主人公だ。演じているクリント・イーストウッドのイメージそのままのタフガイだが、歳と共に体が思うように動かなくなってきたもどかしさもしっかりと描かれていて、リアリティのある人物像となっている。

 

 健康を害してクビの噂もある主人公を心配して、弁護士の一人娘が仕事に同行することになる。頑固な父親と甲斐甲斐しくサポートする優しい娘といった構図になりそうなものだが、そうはならないのが面白い。娘もまた父親譲りの頑固でタフな女だ。平気で口答えして対等に喧嘩する。

 

 

 そして父親に英才教育を受けているので、野球を見る目も持っている。視力の衰えた父親に代わって目となり、しっかりと役に立っている。野球にメチャクチャ詳しい女弁護士とか、なかなか興味深いキャラクターだ。カーブを打つ時にフォームが流れてしまう選手かどうかまで見極めることが出来てしまうのだからすごい。

 

 主人公親子は、とある有力選手を追って各地を巡っていく。何度も衝突しながらも結局は一緒に行動する二人の姿からは、互いを思いやる親子愛が伝わってくる。愛するが故に余計なおせっかいをして怒らせてしまっている感じだ。

 

 娘を邪険にしてしまう主人公だが、支配欲のある暴君だからではなく、自分のスタイルを守りたいからなのだろう。スタイルとは違うことを求められて、つい苛立ってしまう。だが根は思いやりのある善い人間だ。かつてスカウトするも怪我をして、同じスカウトになった若い男が、今でも彼を慕っていることでもそれが分かる。

 

 終盤の、主人公の選手を見る目が間違っていなかったことが証明されるシーンは気持ちよかった。しかも主人公自ら示すのではなく、娘がそれを示し、父親はそんな娘を得意げに誇る形だったのがいい。娘が良い選手を簡単に発掘出来てしまったのはさすがに都合が良すぎたが、この一連の流れは娘のカッコ良さが際立っていた。

 

 順番に親子で似たような言動をするエンディングも上手い。娘の将来に何の心配もなく、しかも親に力まで与えてくれるなんて、なんて頼もしい娘なのだと父親冥利に尽きる話だろう。頼もしい父親ではなく、頼もしい娘の話となっている。良い娘を持ったと言えるが、父親がしっかりしているからそうなったとも言えるかもしれない。互いに寄り掛かるのではなく、それぞれがしっかりと自分の足で立つ、自立した親子の関係が描かれている。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作 ロバート・ロレンツ

 

製作/出演

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出演 エイミー・アダムス/ジャスティン・ティンバーレイク/マシュー・リラード/ジョン・グッドマン/ロバート・パトリック/ボブ・ガントン/ジョージ・ワイナー/エド・ローター/チェルシー・ロス/スコット・イーストウッド

 

人生の特等席 (字幕版)

人生の特等席 (字幕版)

  • クリント・イーストウッド
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人生の特等席 - Wikipedia

 

 

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