★★★★☆
あらすじ
借りを返すための仕事をこなすも、全世界の殺し屋に命を狙われることになってしまった伝説の殺し屋。
シリーズ第2作。122分。
感想
前作のわずか数日後から物語が始まる。この前作からの息つく暇もない感じは「エイリアン」シリーズを彷彿とさせる。だが確かに前作で復讐劇のきっかけとなった盗まれた車のその後については触れられていなかったので、上手い話の切り出し方だと言える。
激しいカーアクションと銃撃戦の結果、主人公は愛車を取り戻す。だがその過程で車は廃車同然のボロボロの状態になってしまうのが面白い。これでは取り戻した意味がないのでは?と思ってしまうのだが、車好き的には一部でも生きていればそれだけで十分ということか。それを元にレストアすればいい。
前作のカタを付けた後、主人公が仕事を再開したことを知ったかつての知り合いがやって来て、今回のメインストーリーが始まる。前作同様、今回も大きな意味を持っているのが殺し屋の世界の「掟」だ。借りは返さなければならないという掟のために、主人公は仕事を引き受けざるを得なくなる。
そして殺し屋中心の独自の世界観も、今作ではより詳細に描かれている。世界中のマフィアらで構成される国連的な組織の存在が明かされたり、殺し屋のためのホテルのローマ店の様子やそこでのサービスの内容が描かれたりする。その中で、ホテルの事務員がどこにでもいそうな普通のおばさんたちなのに、よく見ると腕などにゴリゴリのタトゥーが入っているのが面白かった。
今回も主人公が怒涛の如く敵を殺しまくるアクションが満載で見ごたえがある。ハメられて全世界の殺し屋を敵に回してしまった主人公が、次々と襲い掛かる敵を倒していく。伝説とされている鉛筆一本で敵を倒したエピソードを再現したようなシーンもあった。
主人公らが、激しい戦いの中で一切、一般人を巻き添えにしないのが印象的だ。雑踏の中でも確実に殺し屋と一般人を見分けている。仕事の完遂のためにはそういう犠牲も致し方ない、と考えそうなものだが、これもまた掟なのだろうか。
途中で人ごみの中、わずかな時間だけサイレンサーを使って控えめな銃撃戦をするシーンは可笑しかった。騒ぎになるとマズいから自重するべきだが一応撃っておくか、みたいな思考が読み取れる。このシリーズはこんな風にフフフと笑ってしまうようなシーンをあちこちに散りばめ、緩急をつけているのが良い。一本調子になってしまうとダレてしまう。
クライマックスは、殺し屋の「掟」を逆手に取った主人公の行動であっさりとケリがつく。それまでさんざん殺し屋の掟は絶対、という固定観念を受け付けられていただけに、まさかの展開で気持ち良かった。当然その後に不安が襲い掛かって来るのだが、主人公には覚悟ができていたはずだ。
今作にも主人公の中に、武士道精神のような、日本的なものと相通じるものが流れているように感じる。日本映画だったらこの後、指を詰めるなり切腹するなりしてあっぱれ!と幕をとじてしまうような展開だ。そうはならなかったのは、すぐに死にたがる日本とは違うところで美しくないのかもしれないが、こちらの結末の方が好感が持てるし共感できる。
スタッフ/キャスト
監督 チャド・スタエルスキ
出演 キアヌ・リーブス/コモン/ローレンス・フィッシュバーン/リッカルド・スカマルチョ/ルビー・ローズ/ジョン・レグイザモ/イアン・マクシェーン/ランス・レディック/フランコ・ネロ/イアン・マクシェーン/トーマス・サドスキー/YAMA/ブリジット・モイナハン/ピーター・ストーメア
音楽 タイラー・ベイツ/ジョエル・J・リチャード
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