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「ラン・オールナイト」 2015

ラン・オールナイト(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 疎遠だったカタギの息子が事件に巻き込まれ、助けるために奔走する殺し屋の男。

 

感想

 事件に巻き込まれた息子を助けるために、主人公が咄嗟に殺した相手が自分のボスであり親友でもあるマフィアの親分のバカ息子だったという小さな世界で起きた事件が発端の物語だ。だがマフィアとつながった警察も加わって、主人公は親子ともども大々的に命を狙われ、追われることになってしまう。

 

 敵であるエド・ハリス演じるマフィアのボスが単なる悪者ではなく、主人公の古くからの友人だという設定が、物語に深みを与えている。彼は息子を失った悲しみや怒りはもちろんありつつ、主人公に対する絆もある。それでも、マフィアの親分としての体面を保つためには冷徹であらねばならないことを知っている。主人公もそれを理解し、自らも覚悟を決めている。心の奥底では通じ合った二人が、厳しい監視の目をかいくぐって直接対面する場面には緊張感があった。

 

 

 そして主人公と息子の関係も複雑だ。息子は、家族を蔑ろにしていた殺し屋の主人公を軽蔑している。それでもこの問題では父親に頼るしかなく、仕方なく従っている状況だ。一緒に行動する中で二人の関係に変化が起き、やがて息子も覚悟を決めて共に戦う姿勢を見せるようになる。だが父親とは違ってまともに生きてきた彼の手を汚させまいと、必死でかばって代わりに矢面に立とうとする主人公の姿を見ていると胸が熱くなる。

 

 父親と同じ轍を踏ませてはいけないという親心なのだろう。ただ実際のところ、素人に急に見よう見まねで動かれても邪魔なだけだろうなと思わなくもなかったが。だが素人だろうが何だろうが、家族を助けるためには命がけにならなければいけない時はある。

 

 なんとか穏当な解決を図ろうとするも万策尽き、覚悟を決めて敵陣に乗り込んだ主人公が、ためらうことなく敵を次々と倒していくシーンは気持ちよかった。そして、それでもボスに対してだけは一瞬のためらいを見せてしまったのがまたグッとくる。ここでひと段落ついた後のもうひと山、最後の殺し屋同士の息詰まる戦いも見応えがあった。

 

 美しい映像で繰り広げられる一晩の出来事。堪能できた。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作総指揮 ジャウム・コレット=セラ

 

出演 リーアム・ニーソン/ジョエル・キナマン/コモン/エド・ハリス/ボイド・ホルブルック/ブルース・マッギル/ジェネシス・ロドリゲス/ヴィンセント・ドノフリオ/ニック・ノルティ

 

音楽 トム・ホーケンバーグ(ジャンキーXL)

 

撮影 マーティン・ルーエ

 

ラン・オールナイト(字幕版)

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ラン・オールナイト - Wikipedia

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