★★★☆☆
あらすじ
バイオレンス映画はもう作らないと公言してしまい、次回作に悩むキタノ監督は、他ジャンルの映画に色々と挑戦してみようとする。
北野武監督・主演。寺島進、松坂慶子、内田有紀ら出演。104分。
感想
監督自身が主人公のメタ映画だ。序盤は様々なジャンルの映画がパロディされる。その中では昭和ノスタルジー映画と忍者映画が良かった。
忍者映画は単純にアクション映画としてキレがあり、普通に全編を見たかった。だが監督自身が色々あるアイデアを一つの作品にまとめるまでの意欲はないということなのだろう。すでに「座頭市」もある。
また、昭和ノスタルジー映画は、古き良き時代だととにかく美化されがちな「昭和」を、そんな良いものではなかったと昭和のリアルな姿を突き付ける感じが良かった。これはちゃんと映画を作るには思い入れたっぷりすぎて、監督が冷静ではいられないのだろう。愛憎入りまじった複雑な感情をちゃんと整理できないままに取り組んでしまうと、酷いことになってしまう。
前半はパロディ中心だったが、後半はストーリーの方向性が落ち着き、今度はギャグ中心の展開となる。このパートはちょっとしんどかった。ここで繰り広げられるギャグは、なんとはなしにつけたテレビでたまたまやっていればゲラゲラ笑えそうだが、映画を見る体勢になって身構えていたらあまり笑えない。
昔はそれこそテレビみたいな感覚で気軽に映画館で映画を見ていたのだろうから、そういう時代であればまた感じ方は違うのかもしれない。それでも服を着たまま風呂に入るシーンや、突然始まる奇祭風の下ネタダンスはシュールで面白かった。
冒頭でいきなり監督の人形が登場するシーンからして可笑しかったが、この人形と本人が何度も入れ替わりながら物語は進行する。本当の自分と世間が作り上げた自分、二つの自分がいることを暗示している。世間が作り上げた自分は、もはや本人がどうすることも出来ない厄介な存在だ。それをうまく使いこなしているつもりでも、時には間違えてしまうこともある。そんな監督の葛藤が透けて見えてくる。
とっ散らかった内容になりそうな映画を最後は上手くまとめていた。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/編集/出演* 北野武
*ビートたけし名義
出演 江守徹/岸本加世子/鈴木杏/吉行和子/宝田明/藤田弓子/内田有紀/木村佳乃/松坂慶子/寺島進/菅田俊/石橋保/モロ師岡/渡辺哲/大杉漣/井手らっきょ/六平直政/つまみ枝豆/蝶野正洋/天山広吉/真壁刀義/邪道/外道/矢野通/マスクドC.T.U/江口ともみ/福士誠治/ゾマホン/(声)伊武雅刀
音楽 池辺晋一郎
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