★★★☆☆
あらすじ
若い男に組長らを襲撃された組織は、二人組の殺し屋を雇う。70分。
感想
序盤はいい感じのジャズが背景で流れつつ展開するのだが、ちょっとそれが前面に出過ぎていて鬱陶しさを感じないでもなかった。それから夜の場面などは暗すぎて何をやっているのかよく見えなかったり、声が聞き取りにくかったりして、最初はストーリーを掴むのが大変だった。
ただ時間と共に段々と慣れてきて、何となく物語を理解できるようになってくる。最初、主人公は組長を襲撃した若い男なのかと思っていたのだが、やがてこの男を追う殺し屋の二人組がメインで描かれるようになっていく。
なんとなく掴めるようになったストーリーは、分かるような分からないような内容だった。無理やり解釈すると、安定を求めて月給制の採用を望んだ殺し屋たちだったが、心のどこかではそれによって自由を奪われ、自尊心さえ失ってしまうのではないかと危惧している。そんなモヤモヤを抱えた彼らは、本能的に自由に動き回る若い男にシンパシーを覚え、肩入れするようになってしまった、という事か。
適当に会話を交わし、雑にシーンを切り貼りしただけにも見える物語展開も、実はそれぞれに深い意味が込められているような気がしないでもない。それはともかく、銃を使ったアクションだけに限ってみればなかなか悪くなく、特にラストは見事で単純に面白かった。これもこれでいいのだが、もっとちゃんとアクション映画に仕立てても良かったのかもしれない。
ところでこの不思議なタイトルは、男の股間を指しているのだろうか。というか、自分はしばらく考える時間が必要だったが、普通はすぐにそれとわかるのか。ずいぶんとストレートな下ネタだが、若い男が襲った組長の女にはそれが役に立ち、殺し屋たちも羨望を感じたのだから、タイトルに相応しいとはいえる。これについては、深く考えれば考えるほどド下ネタになっていくが、そういうものを目指している映画だからそれでオッケーのはず。
スタッフ/キャスト
監督 大和屋竺
脚本 大山村人(大和屋竺)
製作 若松孝二
出演 吉沢健/麿赤兒/大久保鷹/山谷初男/松田政男/佐藤重臣/足立正生
音楽 相倉久人