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「哀愁のサーキット」 1972

哀愁のサーキット [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

  人気歌手と恋に落ち、逃避行するプロレーサー。当時、実際にあった出来事をモデルにした映画。

幻のレーサー・福沢幸雄 (1978年)

 

感想

 主人公を演じる峰岸徹(峰岸隆之介)が、まるで少女漫画の王子様のような男前だ。なんだか怪しげなおじさん役をすることが多かった中年以降の彼しか知らなかったので、若い頃はこんなに男前だったのかと驚いた。

 

 そんな彼が演じる主人公が乗る車はシボレー・コルベット・スティングレーで、これまたカッコいい。海越しの富士山を背景に、車を停めた主人公が佇む映像があったりして、画になる凝った構図を撮ろうと意気込んでいるのがよく分かる。ファッションや音楽も良くて、全体的にスタイリッシュだ。特に前半は、そんな映画を撮りたいというチャレンジ精神が強く伝わってくる。

 

 人気レーサーである主人公だが、車と女を賭けた草レースをやったりして刹那的に生きている。レーサーが刹那的に描かれがちなのは、死と隣り合わせの競技だから、まるで生き急いでいるように見えるからだろうか。

 

 そんなレーサーに惹かれる人気女性歌手。彼女はヒット曲を連発して忙しい日々を送っていたが、実感の乏しい日々に空しさも感じていた。二人はどこか似た者同士だったという事なのだろう。共に仕事をほっぽり出して、逃避行に出る。

 

 

 車に乗り込み、当てもない旅を続ける二人。何やら熱心に仕事をしている海辺の漁師たちのそばで、若い二人が戯れているシーンはまるで現実感がなく、虚無感が強調されていて印象的だった。そんな夢のような時間は続かないという事を暗示しているようでもある。

 

 それから二人のベッドシーンで、敢えての演出なのか、予定外の応急処置なのか分からないが、時々、画面の横幅が狭くなったり̚̚角だけ黒くなったりして、少し面白かった。映ってはいけないものを映さないために、必死に隠しているという際どい感じが良い。

 

 やがて二人の逃避行は行き詰まりを迎え、現実世界へと戻っていく。二人ともスターのくせに、そこらの若者のようにお金を持っていないのだな、と思わないこともないが、わりとよくある話ではある。物悲しい結末だが、どこかで必然だったような気がするエンディングだ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 村川透

 

出演 峰岸隆之介(峰岸徹)/木山佳/槇摩耶/石川セリ/絵沢萠子/粟津號/日高晤郎

 

音楽 樋口康雄 

 

撮影 姫田真佐久

 

哀愁のサーキット [DVD]

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  • 発売日: 2019/08/02
  • メディア: DVD
 

哀愁のサーキット - Wikipedia

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