★★★★☆
あらすじ
レズビアンカップルに娘と息子の4人家族。子供たちが連絡を取り、精子提供者と交流が始まったことから家族がおかしくなる。
感想
レズビアンカップルの家庭が舞台。そんな家庭で子供たちは普通の顔して過ごしていて一瞬驚くが、考えてみれば当たり前の話で、生まれてからずっと15年以上もその環境で過ごしていたらそれが普通で、いまさらとやかく言うこともないだろう。映画自体もそんなレズビアン家庭を奇異の目で面白おかしく描くという事はしていない。現実との乖離がどれくらいあるのかは分からないが、少なくともアメリカではこの物語が普通に受け入れられる状況にあるのかと思うと、日本の時代遅れ感に少しゾッとしてしまった。たとえ今、日本で法律などが整ったとしても、この映画と同じ状況になるにはあと20年ほどは必要なわけで、どんどんと取り残されてしまうなと、映画の内容とは関係ないところで色々と考えてしまった。
映画は子供たちが自分たちの生物学上の父親である精子提供者とコンタクトを取った事から始まる。子供たちが自分の父親に関心を持つのは自然な事だと思うが、精子提供者はどう振る舞っていいのか難しいところだ。別に子供を見捨てたとか言うわけではないので堂々と会えばいいのだが、かといって父親ぶるのもおかしな話で、会ったところでどうしていいのか分からないし、その後もどうするべきなのかよく分からない。彼らと緩くつながる親戚の叔父さんみたいな立ち位置でいるのが一番いいような気がしたが、映画の中のこの男性は少し勘違いをしてしまったということになるのか。でも、知らないうちに自分の子供が世に存在していた事を知ったら、色々と思うところがあるのは理解できる。
この男性と交流を持つようになったことで、一家に少しずつ変化が訪れる。そして家族それぞれの問題も表面化していく。それらが時にコミカルに描かれるのだが、コミカルな雰囲気の中で描かれないのでボーッと観ていると見過ごしてしまいそうだ。ただそれが生真面目な顔をしてジョークを言う人のような、変な可笑しさを醸し出していて面白い。役者陣も皆良い演技をしている。
観ているうちに分かってくるのは、どんな形の家族であれ、どこの家にもあるような似たような問題を抱え、それを乗り越えようとしているということだ。そしてタイトル通り、どんな形の家族であれ、子供たちは問題なく普通に成長していく。妙な心配などする必要はないということだろう。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 リサ・チョロデンコ
出演 アネット・ベニング/ジュリアン・ムーア/マーク・ラファロ/ミア・ワシコウスカ/ジョシュ・ハッチャーソン/ヤヤ・ダコスタ
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