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「KILLERMAN/キラーマン」 2019

KILLERMAN/キラーマン(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 資金洗浄を行う男は、預かった金で相棒と共に一攫千金を目論むが、途中のアクシデントで記憶を失ってしまう。

 

感想

 説明的なシーンを極力排した物語で、話の筋が少し分かりづらい。冒頭のシーンも、資金洗浄を行っているだろうことは分かるが、具体的に何をしているのかと言ったらよく分からなかったりする。だが分からなさ過ぎて置いてけぼりになるほどではなく、絶妙のさじ加減ではある。

 

 相棒の出来心に付きあったら、マフィアや警察、政治家らを敵に回すことになってしまった主人公。その主人公が途中で事故により記憶を失ってしまうというプロットが面白い。記憶がない状態で目覚めたら、ヤバそうなやつが親しげに話しかけてくるし、とにかく何かから逃げなきゃいけないみたいだしで、混乱するのも無理はない。

 

 

 それでも主人公は次第に状況を飲み込み適応していく。ただこの順応していく過程がやや曖昧だった。胡散臭そうに見ていた相棒との間に絆が生まれたようも見えなかったし、恋人だという女性に何かあっても普通はあまりピンとこないような気がする。

 

 記憶が戻るまでは無難な行動でやり過ごしそうなものなのに、主人公の動きがより過激さを増していくのが不可解だった。だがこれらは、記憶を早く蘇らせたいと焦り、敢えて過剰に振る舞っていたと考えれば腑に落ちなくもない。

 

 結局最後まで主人公の記憶は戻らずじまいで映画は終わる。主人公がどんな人物だったのかが明らかになり、ちょっとした驚きはあったのだが、期待を上回るような展開ではなかった。

 

 ただ、揺れる粗い映像や遠目から監視するようなショットが多かったのは、それを示唆するためだったのかと合点がいった。話の筋を見えにくくしたのもそのためなのかもしれない。上手い演出だ。ダサいタイトルだなと思っていた「キラーマン」もそっちの意味だったのかと、してやられた感がある。

 

 なんとなく「ハートブルー」や「ワイルドスピード」の逆バージョンみたいな話だったが、やはり主人公の記憶が戻ってからの展開も見たかったというのが正直なところだ。たとえ記憶が戻っても、記憶が戻るまでの期間の記憶は残るのだろうから、どうなっていたのだろうと考えてしまう。

 

 それから「プッシャー」シリーズで知られる、マフィアのボスを演じるズラッコ・ブリッチの容貌がなかなかすごい事になっていた。特に髪型が。彼は「プッシャー」シリーズの中でもかなり変貌していたが、さらに得体のしれないキャラへと進化していた。

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スタッフ/キャスト

監督/脚本 マリク・ベイダー

 

出演 リアム・ヘムズワース/エモリー・コーエン/ダイアン・ゲレーロ/ズラッコ・ブリッチ/スラージ・シャルマ/ニコラ・シュレリ

 

撮影 ケン・セング

 

KILLERMAN/キラーマン(字幕版)

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KILLERMAN/キラーマン - Wikipedia

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