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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「闇の狩人」 1979

闇の狩人

★★★☆☆

 

あらすじ

 江戸時代。闇の組織の元締めは、雇っていた記憶喪失の殺し屋が、自身が関わる蝦夷利権のキーパーソンであることを知る。

 

感想

 裏の世界の悪い男女が暗躍する物語。ただ昔の映画だからか言葉遣いが古く、いまいちセリフの内容がよく分からない部分があった。江戸時代の物語なのだから、本来は撮られた時代が昭和だろうが令和だろうが言葉遣いは変わらないはずだが、時代と共に時代劇言葉も少しずつ変化しているということか。

 

 どの登場人物も、大体知っている役者が演じている豪華な出演陣の映画だ。しかもみな曲者ばかり。そんな彼らが次々と殺されて退場していくのだから贅沢だ。みな短い登場時間でアクの強い演技をしっかり見せ、ちゃんと印象を残して去っていくのが面白い。ちなみに役所広司は顔が確認できる程度のチョイ役だった。

 

 

 チャンバラシーンも見応えがある。特に原田芳雄演じる殺し屋が、寺に潜伏する浪人たちを襲撃するシーンはなかなかインパクトがあった。襖を開けながら進めばいいのになぜかすべて蹴破っていくし、切り落とされた敵の体の一部がずっと画面に映り込んでいるしで、ハチャメチャな派手な演出で面白かった。その他でも、パラパラと豆が落ちてくる中や、鳥の羽根が舞う中での対決シーンがあり、どれも映像的に面白い。西部劇の趣を感じるシーンもあった。

 

 それから、役人が川柳を読んで怒るコミカルシーンがあるのだが、彼らが最初は必死に怒りを抑えようとしていたのが印象的だった。川柳なんかで怒ってしまっては、洒落が通じない器の小さな人間だと思われて、全然粋じゃないと理解している。それが分かっているのに怒っちゃうから笑えるのに、現代の日本には、普通に真面目に怒る人がいるから困る。そのくせ、別の局面では表現の自由を守れ、とか叫んでいるから笑ってしまうのだが。

朝日川柳 西木空人選:朝日新聞デジタル

 

 とはいえ、これはSNSの仕組みに問題があるといえる。「バカに見つかる」という言い方があるが、SNSは本来目にするはずのない人にまで際限なく情報を届けてしまう。しかもなんの前振りもなく唐突に届く。だから頓珍漢な反応をしてしまう人がいるのも仕方がないような気もする。学術書を読むつもりの人が急にエロ本を見せられて、卑猥だ、けしからん、と怒るようなものだろう。でも元々エロ本とはそういうものなわけで。

 

 コミカルな場面は少なかったが、火事で燃え上がるCGでない炎の凄まじさや闇夜に蠢く提灯を持った大勢の人々、そして女優たちのお色気シーンなど、アクション以外にもグッとくる映像が多々あった。惹きつけられる映画ではあったが、ストーリーがあまりよく分からなかったのが残念なところだ。各人物の物語は一応理解できるのだが、納得できるほど深く描かれてはいない。

 

 ラストもなぜ主人公と千葉真一演じる男が戦わなければならなかったのか、釈然としない部分がある。主人公が約束を破ったからなのだろうが、決闘しなければならないほど遺恨が残ったとは思えなかった。

 

 それから主人公が倒したライバルの妾の存在がうざかった。情夫の仇を討とうとする執念、凄まじい情念があるのはよく伝わって来るのだが、ちょこまかと登場して話を無駄に複雑にしてしまうので邪魔くさい。彼女に何度も命を狙われる殺し屋も、撃退してそのまま放っておくのではなく、また狙われることは分かっているのだから、キッチリと片を付けに行けよと思ってしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督 五社英雄

 

脚本 北沢直人(池宮彰一郎)

 

原作 闇の狩人(上) (角川文庫)


出演 仲代達矢/いしだあゆみ/千葉真一/いしだあゆみ/岸惠子/松尾嘉代/藤田まこと/大滝秀治/東野英治郎/夏木勲/成田三樹夫/室田日出男/加藤嘉/ハナ肇/梅宮辰夫/神崎愛/隆大介/東八郎

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闇の狩人

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  • 仲代達矢
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