★★★☆☆
あらすじ
森の中で休暇を過ごす一家は、やって来た謎の集団に世界を救って欲しいと頼まれる。
原題は「Knock at the Cabin」。100分。
感想
突然謎の集団に訪問された一家の物語だ。周りに誰もおらず、電話もつながらないような森の中で、いきなり怪しげな集団に声をかけられるのは怖い。当然警戒するが、強引に家の中に侵入されて拘束されてしまう。
そして何をされるのかと思ったら、狂信者じみた意味不明なことを言い出すのだからなお怖い。要約すれば、世界を救うために一家の誰かに命を捧げて欲しい、ということらしい。言っていることが支離滅裂だ。もちろん断るが、そうするとなぜか彼らは一人ずつ自らの命を絶っていく。
全く訳が分からなくて戸惑うしかないが、冷静に彼らの言い分を整理すると、一家の誰かが自ら命を差し出すことを決断することが重要で、彼らが手を下すことは駄目らしい。つまり一家が動かなければ何も起きないということだ。しかも時と共に彼らは一人ずつ自らの命を絶っていくので、ただ何もせずに粘り、彼らが勝手に全滅するのを待てばいいことになる。
そう気付くと、すべてが茶番に見えてくる。そして彼らの要領を得ない説明や行動、それに一家側のぬるい反応など、展開のいちいちにイライラとしてくる。
特に一家側は、彼らにもっと経緯を詳しく聞き出して欲しかったし、娘と共に死ぬイメージを見たと言っていたくせに違う死に方になろうとしていることなど、彼らの様々な矛盾をもっと指摘して欲しかった。ひとりは弁護士なのだからそれくらいは出来たはずだ。彼らに代わって色々と論破したくなってしまった。
どうにもスッキリとしない展開の中で、実は彼らは狂信者ではなく、本当は一家に恨みのある人間の集まりなのでは?となった時は、面白くなりそうな予感がしておっ?となったが、すぐに立ち消えとなってしまった。個人的にはこっちの路線にして欲しかった。
荒唐無稽な話だと思っていたものが、段々と現実味を帯びるようになっていく展開にしたかったのだろうが、最後までリアリティを感じることは出来なかった。そもそも世界を救うために自分の命を差し出すくらいなら、みんなと一緒に死んだ方がましだと思ってしまう。せっかくなら世界の終わりを見てみたい気もする。
色々と理由を述べてはいたが、彼らの使命感がいまいち理解できず、常に薄っすらとイライラのある映画だった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作/出演 M・ナイト・シャマラン
出演 デイヴ・バウティスタ/ジョナサン・グロフ/ベン・オルドリッジ/ニキ・アムカ=バード/ルパート・グリント