★★★☆☆
内容
南極の過酷な環境で生まれたコウテイペンギンが、初めて海に出ていくまでを追ったドキュメンタリー映画。
「皇帝ペンギン」(2005)の続編。フランス映画。86分。
感想
コウテイペンギンがつがいとなるところから、生まれた子供ペンギンが初めて海に飛び込むまでを追ったドキュメンタリーだ。しかし卵を地面に20秒置いただけで寒さで駄目になるなんて、あまりにも過酷な環境だ。メスからオスに卵を受け渡すシーンはとてもスリリングだった。また失敗した卵があちこちに転がっている様子は悲しかった。
そもそもここは繁殖するような環境ではないのでは?と思ってしまうが、だからこそ競合相手がおらず、確実に子孫を残せてこれたのだろう。これもまた生存戦略だ。
それから何百羽も子供ペンギンが群れている中で、親が自分の子供を声で見つけることができるというのはすごい。別の子供を自分の子ど勘違いしてしまうことはないのだろうか。人間でも結構難しそうだ。
そして成長した子供たちは親と別れ、初めて海に行く。親たちについていって泳ぎや狩りを教えてもらうものだと思っていたので、子供たちだけで行くとは意外で不思議だった。だがなぜ別行動するのかはよく分からない。別行動しても結局似た行動パターンだからカブってしまいそうだが。これもまた生存戦略なのだろうか。
子供たちだけでよちよちと海に向かう姿は微笑ましく、海に飛び込むのに3日もためらうのも可笑しかった。そしてついに彼らは意を決して海に飛び込む。最初はスマートに泳げずにバタつきがちで、水しぶきも多めだ。危なっかしくて親のように心配してしまうが、その一方で何もかもが初めてのことを子供たちだけで独力でやってのけてしまう姿に心強さも感じた。
厳しいながらも美しい南極大陸の風景と、愛らしいペンギンたちの姿につい引き込まれてしまうドキュメンタリーだ。SF映画のワンシーンのような映像もある。夏に見ると涼し気で良さそうだ。
ただ時おり時系列を入れ替える構成が煩わしかったのと、自然界の厳しさを感じられる場面が少なかったのが残念だった。敵に襲われたり、不慮の事故で命を落としたりするようなシーンをもっと見たかった。だがメインで扱われたオスのペンギンは40歳ということだったので、ある程度成長してしまえばそこまで外の世界に脅威はないのかもしれない。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 リュック・ジャケ
出演(声) ランベール・ウィルソン
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