★★★☆☆
あらすじ
博士によって能力者(スキャナー)であることを自覚した男は、能力を使って世界を支配しようとする組織のボスを倒すよう頼まれる。
デヴィッド・クローネンバーグ監督。カナダ映画。104分。
感想
能力者(スキャナー)であると自覚した男が主人公だ。スキャナーたちを集めて世界を支配しようとするボスを倒すために、その行方を追う。
主人公らの能力は、相手の脳とつながって操り、支配するものだ。脳の神経同士はガッツリとつながっているのではなく、間に僅かな隙間がある。それでも信号は伝達されていくので、強い信号を出したら近くにいる人の神経に伝達されてもおかしくないような気はする。この映画では人間だけではなくコンピューターでも、しかも電話を介して操れることになっているのが興味深い。
序盤に悪役の能力が示される場面がある。ここでいきなり相手の頭が爆発するので、シンプルにびっくりしてしまった。なかなかショッキングで、その後も相手の脳とつながろうとするシーンがあると、また頭が爆発するのではないかとヒヤヒヤしてしまった。効果的なシーンだ。
主人公は、悪役の居場所を突き止めるためにスキャナーたちと接触し、情報を集めていく。それを察知して悪役は妨害を試みるのだが、単に殺し屋を送り込むだけのわかりやすいもので、しかも発見したら容赦なく銃撃してくる荒々しいものなので、ダイレクトに怖さが伝わってくる。
中でもスキャナーたちが能力をコントロールする訓練として瞑想のようなものをしているところを次々と射殺していくシーンは、無慈悲すぎて震える。宗教的な儀式の最中を襲うのはタブー感があるが、お構いなしだ。
情報を集める中で主人公は、悪役が企む計画を知ることになる。意図的にスキャーたちを増やそうとするものだったが、序盤の頭が爆発するシーンといい、海外ドラマ「ザ・ボーイズ」を連想してしまった。直接的なのか間接的なのかはわからないが、おそらく影響を受けているのだろう。
ついに悪役にたどり着き、両者が直接対決するのがクライマックスだ。互いに能力を使って攻撃する。血管が浮かび上がってそこから血が流れ出し、さらには目玉も破裂する。見応えたっぷりで思わず見入ってしまう。そしていろんな解釈ができそうな余韻を残すラストもキマッている。
40年以上前の作品なので勿論古臭さは感じるが、手作り感のある特殊効果がCGにはない痛さや怖さを表現している。また、相手を倒す方法は能力か銃撃だけでバリエーションはないのだが、なんでも派手な演出になりがちな現在見ると、そのシンプルさが渋くて味わい深い。アイデアと工夫が詰まった映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 デヴィッド・クローネンバーグ
出演 スティーヴン・ラック/ジェニファー・オニール/マイケル・アイアンサイド/パトリック・マクグーハン
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