★★★★☆
あらすじ
第2次大戦後、公権力を買収しロサンゼルスを牛耳っていたギャングを、極秘裏に潰すよう命じられた警察巡査部長。
事実を基にした映画。原題は「Gangster Squad」。
感想
街を牛耳るギャングを一掃するよう命じられた警察官が主人公だ。だが、判事も警官も買収され、報復を恐れて誰も証言台に立とうとしないので、正式な手続きを踏んで彼らを逮捕したところですぐに無罪放免で釈放されてしまう埒のあかない状況だ。
まともにやっても駄目だからと、そこで主人公らが取った方法は、ギャングの密売している麻薬を強奪したり、金庫に押し入って稼いだ金を燃やしてしまうなど、ことごとく彼らの仕事を邪魔する事だ。法の番人たる警察が、コンプライアンスを丸無視して無茶苦茶やるのがすごい。メンバーの一人も言っていたが、やってることはギャングと何も変わらない。
だが、主人公らの目的はギャングのシマを潰すことなのだから、彼らがよそのギャングのシマを乗っ取る時にやっているようなことを真似するのは合理的かもしれない。警察が敵対するギャングの間に立ち、彼らの力が強大になり過ぎないようコントロールしようとする手法はよくあるが、そんな面倒くさいことなどせずに、警察自身が名実ともにシマを支配してしまった方が確かに手っ取り早い。
これは間違いなく法的に問題があるし、警察が暴走する恐れもあるので懸念しかないのだが、それを実際にやってしまったアメリカの胆力には感心してしまう。ちゃんと責任を負う人がいないと出来ない事だ。
主人公は個性的なメンバーを集めてチームを組み、この非合法な活動を開始する。そのメンバーを、主人公の身を案じる妻が選ぶのが面白い。しかも、出世しそうな若手エリートはすでに買収されている可能性があるから、そうではない組織のあぶれ者を、と選考基準が的確だ。攻撃担当、頭脳担当、相棒役など役割が明確なメンバーが集い、まさに原題通りスクワッド感がある。
そして始まったチームの活動は、案外と行き当たりばったりだった。慎重にリスク管理しながら入念な計画の元で行うものだと思っていたのに、エイヤーと気合と勢いで突っ込んでいく。いつだれがやられてもおかしくないやり方で、これもまたギャングとそっくりだ。戦後間もないので彼らの中にまだ戦争のマインドが残っているのだろう。あまり死を恐れているようには見えなかった。
序盤に唐突に主人公夫妻のベタでウェットなシーンがあったり、クライマックスの大事な対決シーンで急に映像のクオリティが落ちたりと、あれ?と思ってしまう瞬間が一部あったりした。他にも、チームメンバーのキャラクターをもっと掘り下げて欲しかったし、不満なところがないわけではない。
だが、彼らが荒ぶりながら派手にドンパチやってくれるおかげでギャングの抗争劇風でもあったし、悪に少数精鋭で挑む姿は「アンタッチャブル」風でもあって、シンプルに彼らの戦いを楽しめた。ギャングのボス役のショーン・ペンの存在感も、映画の盛り上がりに貢献している。
スタッフ/キャスト
監督/製作総指揮 ルーベン・フライシャー
出演 ジョシュ・ブローリン/ライアン・ゴズリング/ニック・ノルティ/エマ・ストーン/ショーン・ペン/アンソニー・マッキー/ジョヴァンニ・リビシ/マイケル・ペーニャ/ロバート・パトリック/ミレイユ・イーノス/サリバン・ステイプルトン/ホルト・マッキャラニー/ジョシュ・ペンス/オースティン・エイブラムス/ジョン・ポリト/ジョン・アイルウォード/トロイ・ギャリティ/フランク・グリロ*
*ノンクレジット
登場する人物
ミッキー・コーエン/ジャック・ドラグナ