★★★☆☆
あらすじ
利権を得たいマフィアの思惑通りに進んでいたカジノ建設計画が、子飼いの政治家の個人的な事件がきっかけで暗礁に乗り上げてしまう。
イタリア映画。
感想
たくさんの人物が登場し、最初はそれぞれの関係が良く分からないが、次第にはっきりとしてくる。カジノ建設の裏で暗躍する悪党たち。しかし、政治家が起こした事件がきっかけで思わぬ方向に事が進んで行ってしまう。
ただ、これは逆に考えれば、政治家が事件を起こさなければ何事もなく、人知れずおいしい思いをする人たちがいたという事で、それが怖い。今の日本もきっとそんなことが起こっているのだろう。ちょっと現在の日本の状況を想起させる部分もあって考えさせられる。
重厚感や緊迫感のある見ごたえのある物語だが、いくつか腑に落ちない部分もある。まずはサムライと呼ばれるローマを牛耳るボスだ。高そうな服を着ることもなく質素で、大勢の人も引き連れておらず、それが逆に虚勢を張る必要がないくらいすごい人物という事になるのだろうが、それをもっと実感させてほしかった。
確かに気に入らない人物は消してしまうし、まとまらないはずの話をまとめてしまったりしてはいるのだが、今回の事件はそれが失敗したから起こったわけで、厳密にいうとすごさというよりも間抜けさが強調されてしまっているように感じる。意外とみんなが彼にたてつくし、言うことを聞かない。敵は皆殺しにするかと思ったら一人見逃してしまっていて、わきが甘い。
これならジプシーのマフィアのボスの方が有無を言わさない感じがあって怖かった。その人にそんな口の利き方をしたらヤバい、とか、そんなことをしたらダメ、とか、こっちが思うくらいの怖さを感じさせて欲しかった。そしてサムライにたてついたボスも、反撃すればいいのに何もしなかったのも良く分からなかった。そんなのやられるのを待っているのと同じだ。
それからローマ教皇の話と本筋とのつながりがいまいちわからなかった。一応少しはつながってはいるのだが、そこまで深いかかわりはない。イタリアのギャング映画はローマ教皇を出せば映画の重みが増すとでも思っているのかと訝しんでしまった。伝説のボスも首相もそしてローマ教皇ですらも絶対ではない、という事を言いたかったのかもしれない。
話がどう進んで行くか予測不能で面白かったのだが、ラストはちょっと読めてしまって盛り上がれなかった。
スタッフ/キャスト
監督 ステファノ・ソリマ
出演 ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ/クラウディオ・アメンドラ/アレッサンドロ・ボルギ/エリオ・ジェルマーノ
撮影 パオロ・カルネラ
暗黒街(R15+)【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!