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「ハプニング」 2008

ハプニング (特別編) [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 ニューヨークの公園で人々が次々と命を絶つ異常事態が発生し、化学兵器によるテロと見られたことから、妻と共に友人の実家に避難することにした理科教師。

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 マーク・ウォールバーグ主演、M・ナイト・シャラマン監督。91分。

 

感想

 人々が連鎖的に自殺する現象が起きた世界が舞台だ。建設作業員が次々とビルから飛び降りたり、拳銃自殺した警官の銃を拾った人たちによる連鎖的な自殺など、異様な光景が続く。ただ、わざわざ芝刈り機を作動させ、その前にわざわざ横たわって轢き殺される男などは、異常すぎて逆に可笑しみが湧いたりもする。

 

 主人公は、妻と友人親子と共に避難を始める理科教師だ。混乱した中で必死に逃げる姿が描かれるのかと思いきや、夫婦間にギクシャクとした不和があることが示され、そんな状況下でも生き残ることだけに集中できないもどかしさがあった。主人公らは謎の現象の広がりによって移動手段を奪われながらも、なんとか避難を続ける。

 

 

 ラジオやテレビから深刻な状況は伝えられるのだが、その原因が一向に明瞭にならないのがモヤモヤする。最初はテロとされていたが、やがて植物による攻撃ではないかと結論付けられる。だがちゃんとした証拠が提示されるわけでもないので、ずっと半信半疑のままだった。

 

 植物が昆虫を操ることはあるので人間を操ってもおかしくはないが、真相はもっと別にあるような気がしてしまう。だからそよ風に脅えて逃げ惑う人々を見ても、それは本当に意味のある行動なのか?と疑ってしまっていた。

 

 主人公は理科教師だ。生徒たちに科学的アプローチを教えていたので、てっきりこの謎現象もその応用でサバイブしていくのかと思っていたのだが、大きな集団はヤバい、という雑な仮定を設けたくらいで、あとは基本的に雰囲気で動く他の人たちと変わらなかった。仮定を検証することもない。危機的状況になれば、人はそんな悠長なことなどしていられないということなのかもしれない。

 

 結局最後まで明確な理由が明らかになることはなく、よく分からないままに事態は収束する。何もかもが中途半端でパニック映画として素直に楽しませてくれないが、現実はそんな映画みたいに分かりやすいものではないよと言われているかのようだ。実際、コロナ禍も有耶無耶な感じでずっと推移し、よく分からないままに収束した。

 

 事態の曖昧さやそれが生む滑稽さ、またそんな状況下でも夫婦の不和を気にしたり、ホットドッグを食べることにこだわったりする人間の、奇妙な行動を楽しむための映画なのかもしれない。だがどっちつかずの、どうにも宙ぶらりんな気持ちにさせられてしまう。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作/出演(声) M・ナイト・シャマラン

 

出演 マーク・ウォールバーグ/ズーイー・デシャネル/ジョン・レグイザモ/スペンサー・ブレスリン/フランク・コリソン/ジェレミー・ストロング/アラン・ラック

 

撮影 タク・フジモト

 

ハプニング (映画) - Wikipedia

 

 

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