★★☆☆☆
あらすじ
流れ着いたボトルに入っていたメッセージを読み、台湾から香港に向かった女性は、ひょんなことから大金持ちの男性と知り合う。香港映画。
感想
冒頭は、スー・チー演じるヒロインが香港に向かうまでの台湾パートが展開される。これが恋に恋する乙女の恋愛話で、十代の少女でもない自分にとってはかなり辛かった。そんな時間を15分ほど耐えながら過ごした後に、ようやくジャッキー・チェンが登場する。
この映画は恋愛がメインとなっていて、アクション映画だと思って見てしまうとかなり困惑してしまう。ジャッキー・チェンの一連のアクション映画には恋愛要素があるものもあるが、今回はその割合が逆になったようなかたちで、たっぷりのラブロマンスにほんのわずかなアクション要素となっている。
数少ないアクションシーンは、ジャッキー演じる富豪の男が、敵対する企業のボスが送り込んだ格闘家と戦わされるというものだ。この最初の対戦でジャッキーが完敗してしまうのは、珍しくて新鮮だった。しかも流れの中の戦いではなく、完全なるタイマン勝負での敗北だ。意外な結果に見ているこちらまで気分が落ち込んでしまった。
ただここで敵のボスが大喜びするのではなく、哀しそうな様子を見せるのが良かった。ずっと仲良くじゃれ合っていたかったのに、それが不意に終わってしまった寂しさだろうか。とにかく彼が本当は悪い奴ではないことがよく分かる。
最初に富豪の男が惨敗したおかげで再戦が盛り上がるわけだが、格闘家が富豪に再戦を挑む構図になっていたのが謎だった。一度完勝した相手とわざわざもう一度戦いたいと思うだろうか。ここはやはり富豪が戦いを挑むかたちにしてほしかった。
互いに遺恨のないスポーツマンシップ溢れる戦いで、気持ちがいいといえばいいのかもしれないが、モチベーションのない試合のようでつまらないといえばつまらなく、見ていてもあまりテンションは上がっていかなかった。
そしてよく考えると、このアクションシーンは全体の物語から見れば完全に蛇足だ。富豪とヒロインの恋に何の関わりもなく、なくても特に困らない。だがジャッキー映画という面から見れば、ないと困ると言える。個人的にも、このアクションがあったおかげで幾分かは救われた気持ちになった。
肝心のラブロマンスは、ヒロインのスー・チーの演技も良く、当時の香港映画の勢いを感じるような洒落たセンスの演出もあったが、あまりのもロマンチック過ぎた。ロマンチックを求めて見るなら悪くないのだろうが、アクションを求めて見てしまったのでキツかった。
それからトニー・レオンをもっと有効に使って欲しかった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/出演 ヴィンセント・コク
製作/出演
出演 スー・チー
リッチー・レン/エミール・チョウ/エレイン・ジン/チャウ・シンチー/サム・リー/ロー・カーイン/ラム・シュー/スティーブン・フォン/ダニエル・ウー