★★☆☆☆
あらすじ
かつて政府が重大な事故を隠蔽するために住民らを抹殺した島。数年後、それから何とか生き延びた少年が成長し、復讐のために動き出す。
感想
何を描きたかったのかよく分からない映画だ。犯人を追う警察の姿なのか、かつて暗黙裡に起きた悲惨な事件の真相なのか、それを生き延びた男たちの生き様なのか、テロリストと戦う米軍の姿なのか。どこに注目してこの映画を見ればいいのか、よく分からなかった。
それでもラストの様子からすると、玉木宏演じる主人公のダーク―ヒーローぶりを描きたかったのかなという気がしたが、そもそも彼を追う刑事目線のシーンから映画がスタートするわけで、そこから追っていた犯人の方に感情移入するのは難しい。視点がころころ変わり、誰目線で描いているのか分かりづらい映画だった。
それにこの主人公は全然魅力的じゃない。確かに有能なのかもしれないが、復讐に燃えるその背景や感情の動きは全く描かれておらず、いつも完璧な一本調子なだけの男だ。人間味がなく、全く親近感が湧かない。
それによくよく考えてみると、他の登場人物たちの描き方も雑だ。山田孝之や石田ゆり子クラスですら見せ場がなくて、え、それだけ?となんだか気の毒になってしまうほど。ちゃんと描けていたのは石橋凌演じる刑事だけで、なんなら彼が主役と言われた方がしっくりくるくらいだった。
その一方で、主人公に復讐されるおじさん達を演じるのが、いつもの人たち、と言いたくなるようなバイプレーヤーたちとは少し毛並みの違う、独特なキャスティングだったのは新鮮で良かった。
海外ロケ、大げさな音楽、長い上映時間と、大作風映画あるあるが幾つもあるのだが、やってる中身との寸法があってないというか、空回り感があってなかなか辛かった。ストーリーも、最初は復讐で始まったのだからそれを完遂して欲しいのに、ラスボスの政治家を倒さずになぜか途中からテロリスト的な動きを始めてしまってグダグダだ。本当に何見せられてるのかチンプンカンプンな映画だった。
スタッフ/キャスト
監督 岩本仁志
原作 【カラー版】MW 1
出演 玉木宏
山本裕典/林泰文/山下リオ/石田ゆり子/石橋凌/半海一晃/鶴見辰吾/品川徹/角替和枝/中村育二/風間トオル
音楽 池頼広
撮影 石坂拓郎