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「チンピラ」 1996

チンピラ

★★★★☆

 

あらすじ

 ヤクザが運営する会社で働き始めた男は、先輩社員と仲良くなる。

 

感想

 主人公とその先輩の友情のようなものを描いた作品。終始主人公が何をやりたいのかがよく分からないのだが、描き方が悪いとかではなく、そもそも本人も何がやりたいのかが分かっていない、そういう性格の男という事なのだろう。だからこそ彼はヤクザにもならず、かといってカタギにもなれず、中途半端な「チンピラ」という立場にいる。

 

 主人公をそんな風にしてしまったのは、似たような立場にいたダンカン演じる先輩の男の影響が大きい。主人公を可愛がっていた男は、ヤクザなんていい時だけであとはろくでもない、だからなるもんじゃない、と諭す。それでも覚悟がある男ならそれを振り切ってヤクザの道を突き進むのだろうが、彼はそこで踏みとどまってしまう。そんな中途半端さがずっと二人の男に付きまとい、彼らは風見鶏のようにふらふらと流されていく。

 

 

  セリフも少なく、説明的なシーンも少なく、想像力を掻き立てられるような余白を残しつつ物語は進行していく。抗争シーンがあったりするわけでもなく、この手の映画らしくない映画ではあるが、抒情的で印象的なシーンもいくつかあって悪くない雰囲気だ。もうちょっと主人公と先輩との絆は伝わるように描いて欲しかったが。

 

 最後はカタルシスを得られる結末。だが主人公に最初からその覚悟があったなら、また違う物語になっていたのだろうなと少し切なくなってしまった。余韻に浸れる映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 青山真治

 

出演

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ダンカン/片岡礼子/青山知可子/石橋凌/寺島進/光石研/斉藤陽一郎/諏訪太朗

 

音楽 鮎川誠

 

チンピラ

チンピラ

  • 大沢たかお
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