★★★☆☆
あらすじ
ある雨の日に拾った女と暮らし始めたトラック運転手の男。
感想
冒頭からいきなり主人公が、友人とともに社長の娘を襲うワイルドなスタートだ。相変わらず昭和の男は荒ぶっている。そして次に主人公は、雨の中でひとり佇んでいた女を拾って連れ帰る。昭和の女は漂っている。
その後は主人公と女が部屋で過ごす様子が中心に描かれていく。主人公が雨の日は休みとなるダンプカー運転手のためか、二人がいる時は大抵雨が降っている。この雨と画面のあちこちに配置された、タイトルにもある「赤」色が印象に残る映画だ。
次第に女を好きになりかけていた主人公だが、ある時、仲間に女を貸すよう頼まれ、断り切れずに差し出してしまう。最初は冗談かと思っていたのに、本当に差し出さなければならない雰囲気になっていて、すごい世界だなと呆然としてしまった。荒くれ者を気取って断り切れなかった主人公の姿には切ないものがあった。
最初は泣き叫ぶ女だったが、次第に受け入れてしまったのもすごい。暴れて裏返ったこたつから放たれる赤いヒーターの光は、彼女の中の消えない情熱を示していたのか。その様子を見て、自分じゃないと駄目ではなく、別に誰でも良かったのかと落ち込み、自暴自棄となってしまう主人公の気持ちはよく分かる。
飲み屋の女に結局男なんて皆同じ、と断言されていたが、女もまた皆同じなのかもしれない。そんな男と女だからこそ、いつまで経ってもドラマが絶えないのだろう。
スタッフ/キャスト
監督 神代辰巳
脚本 荒井晴彦
原作 「赫髪」 「水の女 (講談社文芸文庫)」所収
出演 宮下順子/亜湖/石橋蓮司/阿藤快/山口美也子/山谷初男/三谷昇/絵沢萠子
音楽 憂歌団