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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「虹をつかむ男 南国奮斗篇」 1997

虹をつかむ男 南国奮斗篇

★★★☆☆

 

あらすじ

 仕事を辞めて、奄美の島々で映画を巡回上映する旧知の男と行動を共にする青年は、ひとりの訳ありそうな女性と知り合う。

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 シリーズ第2作。

 

感想

 前作からの続きではあるが、男が営む映画館の場所が四国から九州になるなど設定はかなり変わっているようだ。前作の内容は正直なところ大まかなプロットしか覚えていなかったが、それでも設定の変更が気になる以外は支障なく見ることが出来た。設定が違うのはマルチバース的なものだと思えばいいのだろう。

 

 今作では映画館は休館しており、館主の男は、鹿児島・奄美の島々を巡りながら公民館などで映画を上映する巡回興行を行っている。そこに仕事を辞めてやって来た主人公が加わって行動を共にするロード―ムービー形式の物語だ。

 

 

 その前に、男が上京して主人公の実家でひと騒動を起こす東京パートがあるのだが、これがただガサツなだけのドタバタ劇で全然笑えない。ここで出鼻をくじかれてしまって、その後の展開にあまり気分がのらないところがあった。

 

 ただ舞台が南国に移って主人公がヒロインと出会い、男と再会してからはだいぶ盛り返してきた。南国の風景と聞き慣れない方言がエキゾチックなムードを醸し出し、旅の解放的な雰囲気に包まれる。そして島民を集めて砂浜や学校の教室で映画を上映するシーンにはノスタルジックな気分にさせられた。

 

 それにしても映画を見るために人々が集ってくる感じにはグッとくるものがある。きっと皆が浮足立った気分になっているからだろう。ちょっとした非日常で、お祭りみたいなものだ。皆がワクワクする気持ちを胸にひとつの空間に集まること自体がすでに楽しい体験なので、なんならその名目は別に映画でなくてもいいのだろう。

 

 映写機が故障してなかなか映画が始まらず、苛立っていた観客たちがある事をきっかけに踊り始め、いつの間にかダンスパーティみたいになってしまったシーンは象徴的だった。今回は映画そのものではなく映画音楽にスポットが当てられており、興行主の男を演じる西田敏行が芸達者ぶりを見せている。

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 主人公と興行主、二人の男のそれぞれの恋愛も描かれる。二人をそのまま寅さんと満男に置き換えても良さそうな後期の「男はつらいよ」的な展開だ。それぞれのマドンナ役を演じる小泉今日子と松坂慶子もいい女ぶりを見せている。そしてともに切ない結末を迎える。

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 東京に戻った主人公が風呂に入るシーンで、序盤の興行主の同様のシーンと対比させてみせるなど、相変わらずうまい演出が随所に見られたが、それぞれの恋愛の描き方が消化不良気味だったり、ヒロインに対する兄の過剰な想いがしっくりと来なかったりと気になる部分も多く、ずっとどこかにぎこちなさを感じてしまう映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本

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脚本 朝間義隆

 

出演

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松坂慶子/哀川翔/田中邦衛/笹野高史/角替和枝/星野真理/倍賞千恵子/小籔千豊/田山涼成/神戸浩

 

音楽 山本直純

 

虹をつかむ男 - Wikipedia

 

 

登場する作品

あの頃映画 「雪国」 [DVD]

風の谷のナウシカ [DVD]

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関連する作品

前作 シリーズ第1作目。

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