★★★☆☆
あらすじ
ふとしたきっかけでボクシングのプロモーターのライセンスを取得した弁護士の男は、初興行を成功させるために奔走する。
1950年の映画「街の野獣」のリメイク作品。105分。
感想
冒頭から主人公の騒々しい姿が描かれるが、舞台となるニューヨークの街のように、終始忙しない映画だ。主人公はあちこちへ動き回り、早口でまくし立てる。字幕を追うのが大変だが、彼のエネルギッシュな性格を表しているのだろう。金になりそうな仕事なら何でもやり、まわりに何を言われようと気にしないタフさもある。
そんな彼は、仕事でボクシングジムを訪れた際に触発され、ボクシング興行に乗り出す。ただこれには唐突な印象を受けて違和感を覚えてしまった。金のことしか考えてなさそうだったのに急に夢を追い求めたように見える。単純に興行として儲かると踏んだのだろうか。
主人公は元ボクサーの協力を得て、会場や選手の確保、ポスターやチケットの手配など各種手配に奔走する。中でも重要なのは金策だ。資金がなければ何も始まらない。愛人と共謀し、その夫からなんとか金を引き出そうとする。しかし資金のあてもないうちからどんどんと事を進めてしまうのはすごい。やはり何よりも大事なのは行動力だ。
一方で主人公の計画は、ボクシングの興行も行うマフィアのボスの怒りを買ってしまう。様々な手を使って止めさせようとしてくるのだが、主人公がたいして意に介さなかったのはなかなかの度胸だった。
彼がなぜ脅しに屈しないのか、理由は後に本人の口から明らかにされる。軽薄そうに見える男でも、その胸には秘めた思いがあるのだ。フワフワした雰囲気だった物語に重みが加わり、このシーンの後からは展開に落ち着きが生まれたような気がした。
だが綱渡りの準備状況から薄々予想出来ていたが、物事は上手く進まない。最悪の結末を覚悟していたのに、案外そうとはならなかった。主人公も懲りない姿を見せており、なんだか拍子抜けして思わず微笑んでしまった。第一印象はよくなかったのに、主人公の滑稽だが一生懸命な姿にいつの間にか好感を持ってしまっていることに気付く。
結局ボクシングの試合のシーンすらなく、いまいち話の中心が分かりづらかったが、奔走する主人公の姿に生き様を見る物語ということだろう。後味は悪くない。
それからこの映画は使われている音楽が良い。あくせく動く主人公に合わせてそわそわしてしまいそうになる心を、優しくなだめてくれるような良曲ばかりだった。
スタッフ/キャスト
監督/製作 アーウィン・ウィンクラー
脚本 リチャード・プライス
出演
ジェシカ・ラング/ジャック・ウォーデン/アラン・キング/イーライ・ウォラック/バリー・プリマス/マイケル・バダルコ
音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード
撮影 タク・フジモト
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