★★☆☆☆
あらすじ
銀行強盗に失敗し投獄された男は、裏社会のボスに逃亡した女を連れ戻すよう強要される。
感想
まず映像のチープさが気になる。夕方から夜にかけてのシーンはわりと普通に見られるのだが、日中の日差しの強い時間帯の映像には白々さを感じてしまうものが多かった。細かいことは気にしないスタイルなのかもしれないが、映画のマジックが失われていてとても冷める。
投獄されていた主人公が、権力者を強要されて女を探す物語だ。だが特にドラマもなくあっさりと女は見つかってしまう。その後主人公は「マッドマックス」風とも「北斗の拳」風とも言える荒廃した集落の人たちに共鳴し、権力者と戦う流れになっていく。
だが、見つけた女との間に何らかの関係が築かれていくわけでも、荒廃した集落の人たちにシンパシーを感じるような何かがあるわけでもないので、物語に惹きつけられるものがない。もっと言えば、そもそもの設定がよく分からないので、何をやっているのか、雰囲気でしか分からないところがあった。
それから、主人公が皆を引き連れて権力者のもとに乗り込むのかと思ったら、見つけた女を連れただけのたった一人で登場して、あんなに盛り上がっておいてみんな来ないのかよ、とズッコケてしまった。もしかしたら他の人たちは外に出られない設定があったのかもしれないが。
ストーリー自体は大したことがないので、世界観で楽しませる必要があるのだが、時代劇と西部劇をミックスしたような世界観はありきたりで凡庸だ。今さら特に面白みがない。ニコラス・ケイジの出演料に予算を全振りしたのかと思ってしまうよな、日本人キャストやエキストラたちの安っぽい演技にも冷めてしまう。
ただ、どうしても日本テイストに敏感になってしまうし、つい気になってその手の作品はたくさん見てしまうネイティブなので、厳しく見てしまっている所はあるかもしれない。日本に特に関心のない外国人であれば、普通に興味深く見られるような気もする。
クライマックスのアクションシーンも特段見るべきところはなく、ニコラス・ケイジの良さもあまり出ておらず、何もかもが中途半端な映画だ。トガるよりも無難に徹している印象を受ける。
スタッフ/キャスト
監督
出演 ニコラス・ケイジ/ソフィア・ブテラ/ビル・モーズリー/ニック・カサヴェテス/TAK∴/YOUNG DAIS/栗原類/渡辺哲
撮影 谷川創平